春が終わり暖かい風が私の肌に触れる。桜も全て散り緑色の葉がヒラヒラと揺れている。今日は4月20日。私の20歳の誕生日…今私は嶺緒のお墓の前で手を合わせている。嶺緒が亡くなったと知った後私はおばさんにすぐ連絡を入れたら、おばさんに『本当のことを月葉に伝えなくて本当にごめんなさい』とすごく謝られた。

おばさんも息子が記憶喪失になり、後一年生きれるかわからないと言われ、脳死した時は幼馴染の月葉に提供して欲しいなんて…辛いに決まってる…なのに私に謝ってきて…『こちらこそごめんなさい…』そう答えるしかなかった。そして、嶺緒のお墓の場所についても聞いた。お墓は私たちが育ったこの地域にあると言われた。そして、今日はおばさん達とお墓参りに来た。私たちの記念すべき20歳の誕生日だから。

嶺緒…私ね今頑張って看護師になる為の勉強してるよ。大学に入って毎日大変だし、一年留年したからみんなより年上だけど私なりにね、頑張ってるよ…私あの一年でたくさんの人と関わった。沢山辛い思いをしたし、私の人生もう終わりにしたいってなんだと思った。

でもね、嶺緒が繋いでくれた大切な命を私はこれからも繋げていこうと想うよ。嶺緒が叶えれなかった夢も、全部私が叶える。だって私達は運命だったんだもん。私達は2人で一つなんだよ。

だからね嶺緒。再会するのはもう少し先でもいいかな?本当は今すぐにでも会いたい。でも、私は生き続ける。嶺緒からもらった大切な心臓を胸に…私達は一生一緒に生きていくんだよね。嶺緒以外の誰かと結婚は今はまだ考えられない。でも、もしもし仮に結婚することになった時はお祝いしてくれるかな?してくれるといいな〜…

あとね、瑠奈と流付き合ったよ。高校卒業して、お互いの大事さに気づいたのか瑠奈の方から。聞いた時はびっくりしたけど、幸せそうでこっちまで嬉しくなったよ。それを知って1番悲しがってたのは輝羅だけどね。『なんで私だけ彼氏できないの!』ってめちゃくちゃ騒ぎまくってたよ。

「月葉ーそろそろ行くよー!」

私を呼ぶ声が遠いところから聞こえた。振り返ってみるとおばさん達が私を呼んでいる。「はーい」と返事をし私は立ち上がった。

「嶺緒、そろそろ時間みたい。また来るからね。20歳の誕生日おめでとう。嶺緒と再会するときに沢山話持ってくから…だから、待っててね嶺緒。もういいよって言われるくらい大量の話題持ってくから…天国でお酒のつまみになるような面白い話期待しててね。バイバイ嶺緒」

結城家のお墓の花立には右側に一本。左側に三本のガーベラをお供えします。一本は『貴方が私の運命の人です』三本は『貴方を愛してます』そして、合計の四本は『貴方に一生の愛を捧げます』の花言葉があるんだ。知ってた?私はこれを全て、私の愛する貴方に捧げます。