嶺緒からのメッセージを見終わった後、私は震えが止まらなかった。涙が止まらなかった。嶺緒はもうこの世にいない。しかも嶺緒の心臓は今私の中で動いている。信じられなかった。言葉じゃ表されないくらい辛くてたまらない…
やっぱり嶺緒の記憶は戻っていたんだ。節々変に思う時はあったけど、完全には疑ってなかった。私を守るために嘘をつき続けてくれてたんだね。でも、嶺緒との時間が少ないならその時間を大切に生きたかった。もう声も姿も見れないなんて…そんなの…酷すぎるよ…
私は右手を心臓に当てた。ドクンドクンって強い鼓動を感じる。この心臓は嶺緒…嶺緒が私の命を繋いでくれた…嬉しいけど…受け入れられないよ…
考えれば考えるだけ涙がとまらず、私は涙が枯れるまで泣いた。嶺緒の事を想えば想うだけ…
あの日…流達が嶺緒の病室に行ったあの日。おばさんが先生に呼ばれて部屋を出た日…きっとあの日におばさんは知ったんだと思う。それに、生活で感じてた違和感はずっとこれだったんだ…ごめん…ごめん嶺緒…私が、ちゃんと気づいて言ってあげればよかった…ごめん…
そして、手術中の夢の中で嶺緒が現れたのはきっと最後に私に会いにきてくれたんだろう…そして『俺たちは離れててもずっと一緒だよ。大丈夫1人じゃない』こう伝えてきたのはきっとこれだったからなんだ。離れてもずっと一緒…1人じゃない…あの時はこんな結末だなんて思ってもいなかった…でも、嶺緒は最後に悔いのないように普段通りの嶺緒であいにきてくれたんだね…
だって、あんなに気持ちを素直に伝えてくれて、少し子供みたいな無邪気な感じの嶺緒久しぶりに見たもん…『また会える、絶対。俺たちは』この言葉はどんな意味だったんだろう…“天国でまた会える”なのか、“何度生まれ変わっても俺たちは会える”なのか…

