──ピッピッピッ
機械の音が聞こえる。もう慣れたからわかる。私生きてる…ここは天国ではない…ちゃんと生きてる…
ん?なんか足元に違和感を感じ、目を開けて見てみると目がパンパンに腫れている瑠奈が寝ていた。もしかすると手術が始まってからずっと心配で泣いて、一緒にいてくれたのかな?今できる精一杯の力で瑠奈を起こした。
「んっ…」
ちょっとした感覚で目を覚ました瑠奈。寝ぼけているのか全然こっちに気づいてくれない。
「る…瑠奈」
私は頑張って声を出した。自分が思っている以上に声や力が出なくてびっくりしている部分はあるけど、今できる精一杯のことをするしかない。
「月葉!?月葉目が覚めたの!?」
私の微かな声に気づいた瑠奈は驚きと喜びが混ざり私に抱きつき泣きながら喜んでいる。
「ちょっと待って、ナースコール押すから」
そう言いながら私の枕元にあるナースコールを押し、「目が覚めました!」と看護師さんに伝えている。その後は月葉は私の家族や輝羅などに連絡を送ったりしていた。
すぐにみんな病室に来てくれて沢山心配され、沢山喜んでくれた。私って本当に幸せ者だと思った。大好きな人に囲まれて…私は生きている。
──コンコン、ガラガラ
「崎谷さん。体調の方は大丈夫ですか?」
先生と看護師さんが病室に入ってきた。
「はい。大丈夫です」
「よかった」と言いながら私の手術について色々話してくれた。移植手術は無事成功し、このまま様子を見て大体2週間後には退院できるそうだ。2週間後…事故にあってから約一年。いろんなことがあった。本当に…この一年長かったな…
「では、また何かあったらすぐに呼んでください」といい先生と看護師さんは病室から出ていった。そのあとはみんなと沢山お話をした。沢山笑った。みんな喋るのに夢中で時間のことなんて何も気にしてなくて、気づいたら面会終了時間になっていて、みんなは渋々病室を後にした。
さっきまで騒がしかった病室から私1人のシーンとした静かな病室に変わり私は色々考えた。私は生きている…手術もうまくいき、この世界を生きていた誰かの命が私の命を繋げてくれた…本当にありがとう…この、もらった心臓を胸に私はこれからの人生を歩んでいきます。ありがとう…

