ストロベリーキャンドル


病室に入って最初に目にしたのは、月葉だった。

「えっ?なんで、月葉がここに」

私が月葉に問いかけるとちょっと申し訳なさそうにしながら口を開いた。

「ごめんね。でも、やっぱり瑠奈とちゃんと話したかった。だから流にも協力をしてもらったの」

「え....」

流の方を見ると「実はな」と言われた。騙された。今の私が月葉にあったら、何を行ってしまうかわからない。辛いことも言ってしまうかもしれない。

「瑠奈....私はね、怒ってなんかいない」

「え?」月葉のその言葉で私は月葉の方を無意識に向いてしまった。そこで久しぶりに月葉と目があったような気がした。

「私は、ちゃんと瑠奈と話したかった。輝羅に聞いても瑠奈とは全然顔も合わしてないって言うし、瑠奈のお母さんに電話しても部屋から出てこなくて家族とも顔を合わしていないって言ってた」

月葉は優しく包み込むような声で私に話しかけてきた。

「お母さんにも電話したの....?」

「うん」と頷きながら月葉はベットから降りた。輝羅に支えてもらいながら....

「瑠奈」

優しい声でまっすぐ、私の目を見て言ってきた。だけど、私は月葉の目が見れなくて下を向いてしまった。

「私はね、瑠奈と小さい時からずっと一緒にいれて楽しかった。もちろん輝羅も流も....それに嶺緒とも....私たち5人はずっと一緒に成長してきた...時には喧嘩をした時もあった....だけど、それよりも一緒にいて、笑って過ごせていた時の方が多かった....だから瑠奈と話せなくなって悲しかった.....寂しかった....」

だんだんと声が震えていた。月葉の顔を見ると涙目になっていた。その隣で輝羅も泣きそうになっていた。

私の左手に力の強さを感じた。見て見るとまだ流と手を繋いでいた。

「私が余命一年って宣告されて.....今はそれよりも短い....それは事実だよ....嶺緒も記憶を失っているし、前みたいな生活はできないかもしれない....」

ポロポロと月葉の目から涙が流れ始めた。

「でも短い時間かもしれないけど、また瑠奈と新しい思い出を作りたい....ここでしかできない思い出を4人で作りたい....だから.....お願い.....また私のそばにいて.....」

その言葉を言った後月葉は床に座って泣き崩れた。泣き崩れている月葉により添いながら、輝羅が一緒になって泣いている。