ストロベリーキャンドル


公園に着くと流が先に来ていた。

「ごめん、待った?」

少し走りながら流のところへ行った。

「ううん、俺も今来たところだし」

「そっか、で?話って何?」

「ここじゃあ寒いから別のところに移動しよう」

流が歩いていく方向を私は後をつけていく。流と、いや…人とこうやって話すのも久しぶりだから心なしか緊張する。

「瑠奈、体調はどう?」

歩きながら流は後ろを向いて問いかけてきた。『転けても知らないよ』と言いたくなるほどの下り道を後ろ向きで歩くのはある意味天才だと思う。

「全然大丈夫」

「そっか、学校は?まだ来れそうにない?」

「いや....頑張って行くつもり。そろそろ出席日数も危ないし」

「そっかー」と言いながら流は私の前を歩いていく。流の背中を最後に見たのはいつだっただろう。小学生の頃、私はこの流の背中を追いかけていた。いつの間にか子供だった背中がしっかりとしている。

流について行ってしばらく経った。

「流?どこ行ってるの?教えてよ!!」

「だーめ。着いたらわかるよ」

前を向いたまま返事を返してきたけど、背中から伝わる。流は楽しんでいる。何かに対して。

しばらく経って最寄り駅に着き、電車に乗った。

そんなに遠くないらしく、3駅で降りた。どんどんと歩いていく流に不安を覚えながらも私はひたすらついていくしかなかった。

周りを見ても、何もわからないような建物ばかり。ホームセンターにビル。そして大学病院。ビルに行く予定はないし、大学病院なんかに行くはずがない。じゃあホームセンター?いやいや、流と2人でホームセンターなんてデートじゃん!!

何しにきたの?

「なぁ、手。出してくれない?」

手?なんで手を出さないといけないの?

「はい」

分からないけどとりあえず手出した。その瞬間...

「ごめん」

そう言って流は私の手を掴んだ。

「えっ!?」

少し力が強いけど、その中に優しさがある。流の手いつの間にこんなしっかりしてたんだ...

「じゃあ、ついて来て」

流は私の手を繋いだまま病院の方へと歩いて行った。病院の中に入ると流はスタスタと奥へ入っていく

「ねぇ、そろそろ教えてよ。なんでこんなところに来るの?」

「もう着くよ」

訳のわからないまま病院に連れて来てそろそろ私もキレそう。

「もうわけわかんないよ」

「着いたよ...」

「え?」

目の前にあるのは今通って来た一般的な病室ではなく、個室部屋みたいなところだった。

──コンコン

「入るよ」

「ちょっ!流!」

流はドアをノックして相手の返事もなく病室のドアを開けた。