ストロベリーキャンドル


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次の日から治療が始まった。何をしたって生きることはできない。でも、病気の進行をおそめるために治療をするらしい。私はもう何も感じなくなった。

何をしたって、『楽しい』『辛い』『悲しい』と言う感情が出てこなかった。こんな状態になってしまったから、私は毎日日記をつけることにした。なんの感情も持てなくなった私が、いつの日か見返した時にどんな気持ちになるのか気になったから。

[治療生活1日目。昨日からなんの感情も出なくなった。私これからどうなるの?怖い…]

みんなは私が心臓病で余命一年だと言うことは隠したことにした。『病気が見つかったから治療することになった』と連絡をを入れて終わった。『大丈夫?無理しないでね』『早く治してね』とかみんなに言われたけど、今の私には何も響かない。

何をしたって、何も感じなくなった。そんな自分が憎かった。でも、どうすることもできない。精神がやられてしまったから。夜も寝れなくなった。目を瞑った時に怖くなる。なんにも感情がない中で、一つだけある感情〔怖い〕

〜〜〜〜

翌日…

「ゔっ…」

胸が痛い…急いでナースコールを押した。

『どうなさいましたか?』

「胸が急に…」

──バタンッ

心臓発作が現れるようになった。幸いナースコールを押したおかげですぐに先生が来てくれて助かった。

[二日目。今日は心臓発作が現れた。ナースコールを押したから助かった]

だんだん感情がなくなっていくのと共に、日々が過ぎていく。

──コンコン

「はい…」

──ガラガラ

「月葉…?」

「みんな」

相手はお兄ちゃんと輝羅、瑠奈。それから流だった。みんなはびっくりした目で私の方を見ている。当たり前だよね…だって前に会ったの一週間前なのにこんなに変わってしまったんだから…心臓病を患っているからと言ってもここまで急には変わらない…

「月葉…大丈夫?…ただの病気じゃないの?…」

そういう瑠奈のには涙が溜まっている。私と嶺緒が事故に遭う前は一回も瑠奈の涙を見たことがなかったのに、この約半年で何回瑠奈たちを泣かせたんだろう…

最低だ…私ったら…最低だ…こんなにも心配してくれる子たちがいたのに…ただただ感情を無くして…

「月葉…お前話していなかったのか?…」

お兄ちゃんの目にも涙が溜まってきている…こんなにたくさんの人を悲しませて、私は何がしたかったんだろう…

「何?…話していないことって…」

病室の空気がどんどん悪くなっていく。

これは言うしかないか…お兄ちゃんもいるから。

「私ね、末期の心臓病なの」

「「「えっ!?」」」

みんなの声がハモる。

「それでね、移植相手が見つかんなかったら余命一年なんだ」

みんなの方を見ると、どうゆう反応をすればいいのかわからなさそうにしている。それもそうだよね。急に心臓病で余命一年なんて言われたらびっくりするよね。

「それって…月葉死んじゃうの?」

第一声を放ったのは輝羅だった。