ピ.ピ.ピ.ピ.

「ん…」

身体中が痛い…なんでだろう…かすかに消毒液の独特な匂いがする…なんでかわからないまま目を開けた…見覚えの無い天井…横を見ると機械が繋がってる…あとは点滴…右手首を見ると点滴が刺されてある…ここは病院なんだとすぐにわかった…なんで病院にいるんだろう…

あの日…確か嶺緒と遊園地を後にして…信号を待っていて…青になったから渡っている時に嶺緒に手を引っ張られて…そっからの記憶はない…あーそっか…私事故に遭ったんだ…そっか…そうなんだ…

───ガラガラ

「月葉!?目が覚めたの!?」

「お母さん…」

「あぁー。良かった…本当によかった…」

お母さんが泣いてる。お母さんが泣いているところ初めて見た。

「お母さん…私事故に遭ったの?」

「えぇ…そうよ…」

「そっか…ごめんね…事故に遭っちゃって…」

お母さんが私に抱きついてきた。

「大丈夫だから…そんなこと言わないで…」

「お…かぁ…さん…」

そこからずっとお母さんと泣いていた。少し経った時に私は一つ聞きたいことを思い出した。

「ねぇお母さん…」

「何?」

「嶺緒は?嶺緒は大丈夫なの?」

「嶺緒くんは… まだ目が覚めないの…」

「嘘でしょ…」

嘘…

「でも、まだ2日経ってないからきっとすぐに目が覚めるよ…」

「そうだよね…」
そうだよ…大丈夫…

「あっ!そうだ。先生呼ばないとだった」

「言われてたの?」

「そうそう」

そう言って私の頭の上にあったナースコールを押した。

『はい。崎谷さんどうされました?』

「娘が目を覚しました」

『わかりました。今すぐ先生に連絡を入れます』

「わかりました。ありがとうございます」

数分後…

──ガラガラ

先生が入ってきた。

「崎谷さん。目が覚めたようですね」

「あっ!先生」

お母さんが先生に挨拶をした。

「こんにちは」

「こんにちは」

先生は見た目は30代くらいに見える若い先生だった。

「体調はどうですか?」

「体は痛いですが、全然平気です」

先生の隣で看護師さんがメモを取っている。

「そうですか。事故に遭ったので、これからまだ痛みは出て来ると思います」

「はい」

「痛み止めの薬を出しておきますね」

「ありがとうございます」