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 ダミアンは予め、すべての証拠を押さえていた。

 ロズウェルが取引をした商人――――トミーの売買記録も、お父さまの遺書を偽造した人間とそのルートも、義母が隠し持っていた毒物も全て。
 人間の法律に基づき、正しく二人を罰するために。


(教えてくれたら良かったのに)


 まぁ、その方がダミアンらしいけど。


「アイナ! あんた、よくも……よくもお母さまを!」


 そのときだった。
 屋敷から連行される義母を見送りながら、メアリーがあたしに向かって声を荒げる。隣にはあたしを捨てたラファエルが、困惑した面持ちで突っ立っていた。


「この悪魔! 人の心を持たない糞女がっ! お母さまは何も悪くないのに! それなのに……!」

「ふふっ……貴女それ、本気で言ってるの?」


 メアリーの罵倒を聞きながら、あたしは高笑いが止まらなかった。 


「何を今更……あたしは悪魔と契約した女だもの。そんな風に言われたところで褒められてるとしか思わないわよ?」


 泣き喚くメアリーを見ながら、ラファエルはオロオロするばかり。
 全く、顔だけが取り柄の男はこれだから使えない。あたしは小さく嘲笑った。