結花が例の場所に着いたのは12時過ぎだった。
 行方不明になって3日目のことだった。
「あ、ゆいちゃんだ!」
 琥珀と翡翠は、リビングで曽田と神牧と一緒に工作をしている最中だった。
「何してるの?」
「あれだよ。夏休みの宿題手伝ってんだ」
 答えたのは曽田だった。
「あのね、そだにいちゃんと、かんまきにいちゃんとね、鉄砲作ってるんだ!」
 弾んだ声で答える翡翠に、結花はふーんと生返事した。

 だーれもゆいちゃんの服にコメントしてくんない!
 短いスカートに、へそ出しのシャツ。
 クルクル巻きした髪、人形のような目にするために、マツエクしたのに。
 可愛いって言ってよ。まったく、気の利かない孫達ね。
 
 結花は勝手にすねながら、例の持ってきたよとダイニングテーブルに置いた。
 頼まれたお金だ。
「これでいいでしょ。この子達返して」
 その瞬間「嫌だー」の大合唱。
 曽田と神牧も「まだ終わってねーんだよ。もう少し遊ばせてくれ」と続ける。
「はぁ? 返す約束じゃん! お金持ってきたんだからさ。ほら、帰るわよ」
 帰りを促す結花に「もう少し待って」と琥珀が止める。
 
 なんかムカついてきた。
 
 結花の心の中でいたずら心の顔が出てくる。