「ひーちゃんが書いた小説さ、ドラマやってるだろ? うちのスタッフ達も観てる人多くってさ、楽しみにしているって」
「そ、それは良かった。あれ、クレームが来るんじゃないかって思ってさ。最初ドラマするの断ってたんだよね」
 長谷川ひかる――稲本陽鞠(ひまり)が書いた小説『母親もどき』は、この7月から、毎週火曜日の夜10時に全国区で放送されている。9月で終わる予定だ。
 陽鞠が住んでいるエリアは6チャンネルだ。
 もちろんネットで見逃し配信もされている。

 女子高生の主人公は、家族にも友達にも恵まれ、平凡な生活を送っていた。
 悩みは母親がちょっと過干渉なこと。

 ある日主人公一家に一通の手紙が届く。
 たまたま開けた主人公は、中身を見て愕然とする。
 差出人は不明。内容はかつて母は同級生をいじめていたというものと、その証拠写真。
 近いうちに主人公を誘拐し殺すという予告。

 母に隠して父に相談した主人公は、2人で警察に相談した。
 警察も熱心に捜す中、主人公のSNSには執拗な嫌がらせメッセージが来たり、誰かに追いかけられるようになった。
 
 真相が見えない中、母との関係がぎくしゃくしだした。