結花は2週間の休養を経て復帰となった。
 さすがにしばらくゆいちゃんがいなかったら、みんな寂しいよね?
 大丈夫? って心配してくれるかな?
 
 杖をついてゆっくり持ち場へ向かう。
「おっはよー、ゆいちゃん戻ったよー!」
「ほんとマジ暇でさぁ、だーれも話相手いなかったのー」
 いつもの甲高い声で挨拶するが、結花を見るなり、視線を逸らす郡山と琴平、無視をきめこむ堀内、呆れと軽蔑の視線を向ける吉岡……正直言って結花の復帰を歓迎しているとは言えない雰囲気だった。
 まるで平和だった世界を壊されたかのような。

 えーっ、なーんでみんな冷たいの?
 世界一かわいいゆいちゃんが戻ってきたんだよ?!
 しかもだーれも「可愛いね」なんて言ってくれないし。

 結花は同僚達のリアクションの薄さにムカついたのか、頬を膨らませて、自分のデスクの上に勢いよく通勤用の鞄を置いた。
 横に座ってる吉岡が一瞥したが、すぐに自分の仕事に向かった。

 浅沼工場は9時始業の18時終了だ。
 今時計は10時半を指していた。
 結花は復帰早々遅刻した。しかも無断で。
 

「ほんと痛かったんだよー」