男性利用者の1人が周子の夜の様子を個人面談で話したことがきっかけで、他の利用者達も、次々と、周子の嫌がらせの証言をした。男女問わずだった。
 
 被害者の1人である石田は『セクハラされても、周子が男性利用者からやったと言い出したら、自分たちが不利になるのを分かっているから、中々言えなかった』と漏らしていた。
 職員達も夜間の巡回を厳重にし、証拠を残すために、周子と男性利用者がいる様子や、周子と同じテーブルにいる須藤や川口など、彼らに協力してもらって、ボイスレコーダーを持って貰った。
 
『家族は冷たいねぇ。正志さん優しいのにねぇ。私がめい一杯甘やかしてあげる』
『寝れないの? 子守歌しましょうか?』
『勇さんの腕たくましいわぁー。鍛えてる男性は素敵ねぇ』
 
 所々男性利用者と思われる人から「やめてくれ」とか「もう寝ようよ」と止める声が漏れる。
 それに対して周子は「いーじゃない? おにーさん、おねーさんが来たら、ベッドの下に隠れればいいのよ」と巻き込む気満々だった。

「あーあ、西海さんに黙ってて貰おうとおもってたのに……ばれちゃった。今度はバレないようにしよ」
 てへっと悪びれもなく笑う声が出る。
「職員の周さんは外国人の癖に口うるさいのよ。だからお嫁にいけないんじゃない?」