結花の実家がある呉松家から春の台からバスで約8分のとこに西南中央駅(せいなんちゅうおおうえき)がある
 周りはショッピングモールや駅ビルやホテルがある。少し離れるとそこは閑静な住宅街に入る。
 西南中央駅から徒歩分のとこにと建物が見えた――有料老人ホーム"サルース”。
 まるでマンションのような建物だ。
 結花はこんな場所あったっけと、兄の良輔(りょうすけ)についていくように、エントランスに入っていく。
 エントランスを抜けると開放的なロビーが見えた。

 車椅子の男性2人、女性1人と普通の椅子に座っている男性1人が、机囲んで麻雀に夢中になっている人達。
 他のブースでは、囲碁や将棋を楽しむ人達、書道やカラオケを楽しむ人達、せっせと広告でゴミ箱を作る人達と、各々(おのおの)楽しんでいる様子だ。
 ロビーのあちこちに、利用者の書道や絵画や、折り紙やフェルト生地で作られた作品が展示されている。
 良輔は受付のロビーに面会に来た旨を伝えて、案内して貰った。
 ロビーすぐ近くのエレベーターに乗って5階までいく。
 エレベーターの中には、施設からのお知らせや敷地内にあるレストランの営業や、建物の案内図が掲示されている。
 5階につくと、結花は良輔の後を追うように急ぎ足でついていく。
「ここだ」