『フリマアプリ。既に通報とアカウント凍結されている。証拠のスクショを向こうの家から貰った。前、悠真くんのクイズの問題集とか解答ボタン売られてたじゃん? "”ほぼ”同じアカウントでやってた』
「同じアカウント? そんなの、無理じゃないですか? だってアカウント停止されてるはずなんじゃ……だいたい、クイズの解答ボタンは百均でお手軽で買えますけど、私が使ってるのは専門サイトで5万ぐらいです。クイズ大会の過去問もそうです」  

 中には解答ボタンを作る猛者もいるけど、それを買った後に、フリマアプリで売るなんてもってのほかと暗黙の了解がある。
 以前私のものが売られていた時、通報されているはずなんじゃ。
 家にあった問題集数冊と本が売られていた。しかもその中には、人気のタレント・俳優である吉村敏史(よしむらさとし)が昔出した本のサインが入っている。
 吉村は私の高校と大学の同級生で、一緒にクイズで切磋琢磨してきた仲だった。
 部活内で、1年の最初から先輩達をあっさり勝つ実力で、中学から少し触れただけの自分には、到底敵わない相手だった。
 大学在学中に、テレビタレントになるって聞いた時面食らった。一緒に話を聞いていた戸塚の顔が、大きな目と口を開けて芸人みたいなリアクションでおかしかった。