思わず頭を抱えたくなる。
 マジかよ。あの時も陽鞠の通帳ぱくって、贅沢三昧してたな。

『それにな、転売疑惑もあるから、警察にしょっ引くか考えている』

 追い打ちをかけるかのように、元義兄から告げられる話に、悠真は言葉を失う。一度深呼吸した。
 頭がすっきりして、話を再開する。

「て、転売、ですか? 今度はなんですか?」
 あぁと短く返事をする良輔の声は疲れ切っていた。
 売られてたのが人気声優のライブチケット及びグッズや、義理の両親、そして子供達が大事にしているアニメグッズだと聞いて、ますます顔色が青白くなる。
 声優の名前を聞いて、愕然としながら「マジっすか」と繰り返す。
 アニメに少し疎い悠真でも知っている人だった。
 老若男女人気のアニメに主役で出てて、朝の情報番組やバラエティ番組に出てたなーと思い出す。 
「その人のライブ、陽鞠が行ってました。前々からチケット取るのがだんだん難しくなってるって話です。今年になってから、倍率がさらに高くなったと聞きました」

『え、そうなんだ? ひーちゃんも? 運よかったんだね。その倍率を上げた元凶が……』
「そうですね……それは、通報とかされてるんですか? そもそもどこで?」