周平がいる和室の隣にスタッフ達は向かう。
 今度は結花の義理両親がいる洋室だ。
 ショートのグレイヘアにまんまるとした顔立ちで眼鏡をかけている女性――田先登美子(たさきとみこ)
 来客があるからなのか、緑のブラウスに青のジーンズを着ている。
 隣にいるのは、白髪の丸い金縁の眼鏡で少し角張った顔の男性――田先俊美(たさきとしみ)だ。
 こちらはライトグレーのスーツに薄い水色のシャツを着ている。
 先に口を開いたのは登美子だった。
「私達の友人である瀬ノ上和子(せのうえかずこ)さんから彼女をご紹介されたんですよ。元ご主人に追い出されたから、うちで働いて貰っていると。一生懸命くるくると動いてて、可愛らしい方でした。見た感じいいなと思いまして、すぐに息子に紹介しました」
「まぁ、でもそれはほんの最初だけで、蓋を開けてみれば、あの態度です。生活態度はだらしないわ、私達にもため口、専業主婦の約束を理由に仕事をしない、かといって家のことも全然やってないんです」
 俊美は大げさなため息をついて「もう無理です」と呟いた。