「するしないじゃないんです! 今時仕事で個人用スマホ使わせるとこなんて、ブラック企業ですよ! それに私達は現場仕事でスマホはあっても、事業所または社内とのやりとりでしかつかいません!」
 福島は負けじと強い口調で言い返す。
 会社でのスマホの使い方は散々厳しく言われる。
 それはどこも同じだとおもっていたが、そういうのを知らない人間もいる。目の前に。
 高校生のバイト達も最初は知らないでやってしまうことがあるものの、注意すれば、素直に聞いてくれる。今のところここでの個人情報流出云々の話は聞いていない。あったら今頃騒ぎになっている。
 苦い顔しながら結花を一瞥する。
「スマホはここに入れてください」
 福島が指さしたのは大きな金庫だ。
 暗証番号を教えられ、中を開けると、スタッフ達のスマホが入っていた。
 勤務中は金庫の中に入れて預かるというものだ。
 しぶしぶ入れて「では。ご案内いたします」と、福島の後についていく。
 この人ずいぶんいい度胸してる。私に言い返すなんて。この年ぐらいの子だったら、びくつくのに。
 というか、ここのスタッフ達は私に厳しくなーいー?!
 多分義兄と夫の根回し? 余計なことしゃがって。