初は気づいていないかもしれないけど、俺が顔に出にくいからかもしれないけど。


「へっ!?ど、どういう意味ですか!?」


 俺は、そばにいるだけで、初にドキドキしっぱなしだから。


「…秘密」


 俺がそう言うと、初は「えー…」と言って、残念そうに眉を下げた。


 …本当に気づいていないんだな。


 その時、リビングから、


「初ちゃーん?鮫上ー?」


 と、俺たちを呼ぶ星出の声が聞こえた。


「あ、星出さんが呼んでます!行きましょう!」


 と、俺に背を向けて初が引き戸に手をかけた。


 そこで俺は初の鈍感さに怒ってか、星出にふたりきりの時間を邪魔されたからか、


「…えっ」


 こちらに背を向けた初の肩を持ってくるりと回し、俺の方に向かせた後。


 ゆっくりと顔を近づけて、そのぽかんとした唇にそっとキスを落とした。


「っえ!?な、なんっ…!」


 明らかに動揺して耳まで真っ赤にしている初に、


「しー。星出たちに聞かれるよ?」


 と、口の前で指を立てながら言った。


 そしてあわあわと唇を震わせる初に、