初の姿を目にうつした瞬間、俺の胸がホッとあたたかくなり、呼吸もだんだんと落ち着いていった。


「いや…なんでもない」


 初がいないことでこんなに焦った自分が少し恥ずかしくて、俺はそう答えた。


 知らず知らずのうちに、初が俺にとっての安らぎになっていたんだ。そう実感した。

「そうですか?…あ、紺くんお腹空いてませんか?」


 と、初は手に持っていたお盆をベッドの脇の机に置いた。


 そのお盆の上には何かの料理がのっていた。


「…おかゆ?」


「はい!私が作ったんです!」


 と、ドンッと胸をたたきそうな感じで言う初。


 …あれ、そういえば初って、料理苦手じゃなかったっけ?


 見た目はいいけど…的な。


「お薬も飲まないといけないので、さっそく食べてください!」


 と、初がレンゲでおかゆをひとすくいしてから俺に差し出す。


「えー…」