「…どこいくの」


「どこって、キッチンに行こうかと」


「…俺が元気になるまで離れないんじゃなかったの」


 紺くんはそう言って、私の服をさらにギュッと握る。


 …え、ど、どうしたんですか紺くん!?


 いつもの紺くんからは想像できないほど弱ってる。


 早くお薬飲まなきゃ…!


 でも服離してくれないし…。


 少しの間考えた私は紺くんに、


「…わかりました。そばにいます」


 と言って、紺くんの寝ているベッドに浅く腰掛けた。


 すると紺くんは少し口角を上げて、


「…初、手握ってよ」


 と、私に向かって右手を差し出した。


「はい、もちろんです!」


 そういえば、近づくなとか言ってなかったっけ?


 ま、いいか。


 私は紺くんの右手を両手で優しく包み込んだ。


 すると紺くんは少しずつ目を閉じて、その後規則正しい寝息が聞こえた。


 私は紺くんが眠ったのを確認してから、ゆっくりと手を離し、キッチンへと向かった。