……でも、本当はソフィア様を見てほしくはない。美しくスタイルもよくてそのうえ祈りの言葉も歌うように流麗に唱える。……あれを見たらレオン様はソフィア様を好きになっちゃうかも……。
「光ねぇ……」
それからさらに三か月が経った。
もともと二つに分かれていた国が一つになった。一つになってからは戦争や小競り合いがなく平和に暮らしていたというのに……。再び国が分かれる危機が訪れていた。
西地区の荒廃は進み、東地区へ助けを求めてきたからだ。東地区を収める貴族たちが西地区など見捨てて東地区が独立した国になればいいと言い出したのだ。
そんな中、国からの使者がレオン様のもとに来たのは四度目になる。
執務室では渋い顔をしたレオン様と、苦笑いする副神殿長の姿がある。
「レオン様、使者はなんと言っていたのですか?」
「また、同じだ。西地区の神殿も回って助けてくれと」
レオン様はまた同じように断ったのだろう。西地区を助けたくとも東地区だけでも手一杯だからと。確かにその通りなのだけれど……。西地区の人たちが辛い思いをしているのを想像すると胸が押しつぶされそうになる。
「ミラ……そう、辛そうな顔をするな。そろそろ陛下も神託の真の意味に気が付いただろう。いや、とっくに気が付いていて見ぬふりをしていたのかもしれぬ……『過ちの者から正しき者に引き継がれる』。過ちが正されるためにこれ以上犠牲者を増やすつもりであるほど愚かではないと信じたい」
え? どういうこと?
副神殿長がふっと笑った。
「あとは任せてください。すでに準備は整えてあります。信心深い貴族たちはすでに真実に気が付いているようです」
「よし、ミラ。行くぞ」
「え? どこへですか?」
「王宮礼拝堂だ。数日後に半年に一度の大礼拝が行われるはずだろう?」
「光ねぇ……」
それからさらに三か月が経った。
もともと二つに分かれていた国が一つになった。一つになってからは戦争や小競り合いがなく平和に暮らしていたというのに……。再び国が分かれる危機が訪れていた。
西地区の荒廃は進み、東地区へ助けを求めてきたからだ。東地区を収める貴族たちが西地区など見捨てて東地区が独立した国になればいいと言い出したのだ。
そんな中、国からの使者がレオン様のもとに来たのは四度目になる。
執務室では渋い顔をしたレオン様と、苦笑いする副神殿長の姿がある。
「レオン様、使者はなんと言っていたのですか?」
「また、同じだ。西地区の神殿も回って助けてくれと」
レオン様はまた同じように断ったのだろう。西地区を助けたくとも東地区だけでも手一杯だからと。確かにその通りなのだけれど……。西地区の人たちが辛い思いをしているのを想像すると胸が押しつぶされそうになる。
「ミラ……そう、辛そうな顔をするな。そろそろ陛下も神託の真の意味に気が付いただろう。いや、とっくに気が付いていて見ぬふりをしていたのかもしれぬ……『過ちの者から正しき者に引き継がれる』。過ちが正されるためにこれ以上犠牲者を増やすつもりであるほど愚かではないと信じたい」
え? どういうこと?
副神殿長がふっと笑った。
「あとは任せてください。すでに準備は整えてあります。信心深い貴族たちはすでに真実に気が付いているようです」
「よし、ミラ。行くぞ」
「え? どこへですか?」
「王宮礼拝堂だ。数日後に半年に一度の大礼拝が行われるはずだろう?」


