笑顔……にやけ顔じゃなくて、今はちゃんと笑ってるよね。だって、幸せだもの。
誰も笑っていない王宮を出られた。私のことを罵ることしかしない皇太子との婚約はなくなった。自由のない聖女から巫女へと戻れた。しかも……出戻ってきた私をレオン様は受け入れ、心配までしてくれる。なんて、幸せなんだろう。
「そうか……私の目が好きなのか……。こんなもので笑顔になるのなら、いくらだって見せてやる。もっと、近くで見たらいい」
レオン様の顔が近づいてくる。
私の正面、息がかかりそうなくらい……。アイスブルーの瞳に、私の顔が映っているのが見える。
ちょ、こんなの、笑えないよ。ドキドキしすぎちゃって……。ま、まるで、キスされそうなくらいにレオン様の顔が近くにあったらっ!
コンコンコンッと、ノックの音が響いた。
「あー、なんだ、いいところだったのに」
ん? いいところ?
「誰だ?」
「レオン様、皇太子殿下の婚約破棄の調査報告に参りました」
え? どういうこと?
「ああ、ちょうどいい。入れ」
あの時の調査報告? 私が聖女ではないと言われたあの一幕……。
ひゅっと小さく息を飲み込む。
私を聖女だと言ったレオン様の責任を問うような言葉もあったはずだ。
……私が祈りの言葉すらろくに言えなかったことに端を発し、レオン様の名誉を傷つけてしまったあの出来事を報告するの?
執務室に入ってきたのは、副神殿長だ、ぽっちゃりしていつもにこやかな副神殿長が、顔から笑顔を消していた。副神殿長は私の姿を見ると、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「ああ、ミラさん、おかえりなさい。聖女だとか、巫女だとか関係ありませんからね。ミラさんはずっとミラさんです。僕はかつて恋人から旦那になって、今はパパと呼ばれているしここでは服神殿長
と呼ばれるのと同じですよ。僕という人間は変わりません」
誰も笑っていない王宮を出られた。私のことを罵ることしかしない皇太子との婚約はなくなった。自由のない聖女から巫女へと戻れた。しかも……出戻ってきた私をレオン様は受け入れ、心配までしてくれる。なんて、幸せなんだろう。
「そうか……私の目が好きなのか……。こんなもので笑顔になるのなら、いくらだって見せてやる。もっと、近くで見たらいい」
レオン様の顔が近づいてくる。
私の正面、息がかかりそうなくらい……。アイスブルーの瞳に、私の顔が映っているのが見える。
ちょ、こんなの、笑えないよ。ドキドキしすぎちゃって……。ま、まるで、キスされそうなくらいにレオン様の顔が近くにあったらっ!
コンコンコンッと、ノックの音が響いた。
「あー、なんだ、いいところだったのに」
ん? いいところ?
「誰だ?」
「レオン様、皇太子殿下の婚約破棄の調査報告に参りました」
え? どういうこと?
「ああ、ちょうどいい。入れ」
あの時の調査報告? 私が聖女ではないと言われたあの一幕……。
ひゅっと小さく息を飲み込む。
私を聖女だと言ったレオン様の責任を問うような言葉もあったはずだ。
……私が祈りの言葉すらろくに言えなかったことに端を発し、レオン様の名誉を傷つけてしまったあの出来事を報告するの?
執務室に入ってきたのは、副神殿長だ、ぽっちゃりしていつもにこやかな副神殿長が、顔から笑顔を消していた。副神殿長は私の姿を見ると、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「ああ、ミラさん、おかえりなさい。聖女だとか、巫女だとか関係ありませんからね。ミラさんはずっとミラさんです。僕はかつて恋人から旦那になって、今はパパと呼ばれているしここでは服神殿長
と呼ばれるのと同じですよ。僕という人間は変わりません」


