「ミラ、今度は北の町で呪いの疑いだ。ついてきなさい」
「他の巫女と違ってミラはなんでもこなすから頼りになる」
「ミラが聖女だ。残念だが今までのように一緒に出張奉仕はもう頼めないな」
レオン様の言葉を思い出す。
……聖女を連れまわすわけにはいかないと、出張奉仕にはついていかなくなった。その時に残念だと言ってくれた。
巫女に戻ったら、またレオン様は私を連れて行ってくれるだろうか。聖女じゃなくなった私のことを……受け入れてくれるだろうか。
不安が胸をよぎるけれど、他に行く当てもない。
落ち込みそうになる自分を何とかはげます。
「とにかく、私は自由! 自由になった!」
もうそれだけでいいや。
「あ痛たたた」
突然街を歩いていたおじさんが地面に倒れこんだ。
背中に背負っていた大きなかごが落ち、中に入っていた木の実が道に転がる。
「大丈夫ですか?」
散らばった木の実を拾い集めながら近づく。
「いや、すまん、腰を……どうやらぎっくり腰をやってしまったようだ……」
「それは大変ですね。癒し、腰よ治れ」
少し魔力を込めると、すぐにおじさんがむくりと体を起こす。
「あれ? 治った。君が治してくれたのかい?」
「はい。巫女なんでぎっくり腰くらいすぐに治せちゃいます」
もう勝手に好きなだけ力使っていい。聖女のときは目の前で困っている人がいてもほいほいと力は使っちゃ駄目だったんだよね。地味に辛かった。
皇太子殿下と一緒にいることも辛かったし、王妃様ににらまれながらの教育も辛かったけど。
「いや、巫女って、そこまですごいんだね。知らなかったよありがとう」
おじさんが本当にうれしそうにクシャリと笑った。
……うん、こうして人の笑顔を見るのが大好き。この笑顔が見られないのが辛かった。
殿下と婚約して王宮に入ってからは、誰も私に笑顔を向けてはくれなかったから……。
「他の巫女と違ってミラはなんでもこなすから頼りになる」
「ミラが聖女だ。残念だが今までのように一緒に出張奉仕はもう頼めないな」
レオン様の言葉を思い出す。
……聖女を連れまわすわけにはいかないと、出張奉仕にはついていかなくなった。その時に残念だと言ってくれた。
巫女に戻ったら、またレオン様は私を連れて行ってくれるだろうか。聖女じゃなくなった私のことを……受け入れてくれるだろうか。
不安が胸をよぎるけれど、他に行く当てもない。
落ち込みそうになる自分を何とかはげます。
「とにかく、私は自由! 自由になった!」
もうそれだけでいいや。
「あ痛たたた」
突然街を歩いていたおじさんが地面に倒れこんだ。
背中に背負っていた大きなかごが落ち、中に入っていた木の実が道に転がる。
「大丈夫ですか?」
散らばった木の実を拾い集めながら近づく。
「いや、すまん、腰を……どうやらぎっくり腰をやってしまったようだ……」
「それは大変ですね。癒し、腰よ治れ」
少し魔力を込めると、すぐにおじさんがむくりと体を起こす。
「あれ? 治った。君が治してくれたのかい?」
「はい。巫女なんでぎっくり腰くらいすぐに治せちゃいます」
もう勝手に好きなだけ力使っていい。聖女のときは目の前で困っている人がいてもほいほいと力は使っちゃ駄目だったんだよね。地味に辛かった。
皇太子殿下と一緒にいることも辛かったし、王妃様ににらまれながらの教育も辛かったけど。
「いや、巫女って、そこまですごいんだね。知らなかったよありがとう」
おじさんが本当にうれしそうにクシャリと笑った。
……うん、こうして人の笑顔を見るのが大好き。この笑顔が見られないのが辛かった。
殿下と婚約して王宮に入ってからは、誰も私に笑顔を向けてはくれなかったから……。


