その0



実は恐ろしい?区画整理事業…。

山林や農地など、資産価値ほぼゼロの土地が街区整理され、宅地や商業地に化ける魔法の杖…。

そんな完成されたきれいな街並みの中、ぽつんと佇む墓地などは事業対象地に組み込まなかった証左であり名残りでもある。

だが…、墓地以外でも”触れべかざる場所”として、その地域に古くから伝えられてきた”微妙な地べた”などは日本全国、珍しくない。

それら沼や櫂、あるいは”禍々しきモノ”が埋まってると衆目された土地が含まれた区画整理事業では、それら因果深き従前地も宅地の衣を押しつけられ、実際に人が住んでいても不思議ではない…。

所詮、旧市街地の再整備事業と違い、広大な山林原野等を含む事業対象地内を大規模造成してのガラガラポンなのだから…。

地方都市の区画整理事業では、地元の有力地権者達が区画整理組合の理事に就き、事実上区画整理事業を仕切るというパターンも多い。

事業性の高い場合は、余剰価値を保留地に指定して、造成デベロッパーや整理組合サイドでおいしく”組み立て”しているケースもある。

そして、各地権者の所有する”従前地”とは別の場所になる街区整理後の完成宅地を割り当てる、いわゆる”換地”の指定は事実上、”彼ら”に決定権が委ねられていると言っていいい。

もし…、その理事たる当該事業地の地権者の所有する従前地が”いわくの地”で、なおかつ”それ”を事前に知っていたとしたら…。


注釈:この物語はフィクションですよ~~