NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

その7


そのタカハシの指摘には、再び武次郎が真っ先に反応した。

「タカハシの言うこと、かなり信憑性あるんじゃないのか?今回の九州調停では、東龍会の坂内さんが実質、東西間を取りまとめたんだ。その議題の中心が、今後東西双方にとってますます懸念の存在となり得るであろう、ほかならぬ相和会への対応策だったんだろう?」

武次郎のストレートな指摘に他の3人は思わずうなずき合った。

「…その相和会とはよう、傘下の星流会経由で長きに渡って対峙してきた実績がある。それだけでなく、東龍と盟友関係の田代組は直接相和会と過去に何度も衝突してきたから、つぶさに”今までのそれ”を目にしてきた訳だ。ならさあ…、坂内さんこそ、関東・関西ひっくるめて相和会に一番精通している親分ってことじゃあないか?」

武次郎はでかい声ではあったが、その諭すような言葉立ては、説得力があるものと言えた。

「…その坂内さんが今回、今後相和会にどう対処していくかを、ライバル関西との間に合意を導いたと…。その細かな内容はわからんが、少なくとも、隙あらば相和会をって野心はあると思うぜ」

”武次郎め…。椎名からの話はしっかりかみ砕いていたようだ。まあ、ここは他の二人に任せ、オレは皆の考えを聞こう”

...


そんなノボルを察して、今度はタカハシが発言した。

「武次郎さんの言う通りだ。その坂内さんは、最近ではガキを取り込んだ新しい市場の確立を強く説いている。そのスキーム実行の相棒という椅子には、今般、オレたちの予約券が張られた。坂内さんは相和会という曲者にガキを押し立てて切り崩しを図ることを、いわば傘下の星流会に実践させてきた訳だから、この先、しかるべき局面となった場合、我らの進軍も考えられなくはない。そうなれば、今の武次郎さんが予測した通りになる。我々が相和会侵攻の役割を担う可能性は決して低くない。ならば…、となります」

タカハシもかなり感情のこもった訴えるような口っぷりになっていた。
続いて椎名も口を開いた。


...


「これはもう、皆同じ意見だろうよ。要は、埼玉県境東京北部の動向次第で、我々もあそこの地の諸事情には無関係でいられなくなる想定は必要だということ。であれば、”今の環境”であのエリアにノボルさんが入るのは大いに意味がある。こういうことでいいよな?」

椎名は端的に結論を提示し、それに3人は同意した。
これによって、いよいよ大打ノボルは、東京埼玉都県境の地へ足を踏み入れることとなる。

運命のベクトルは、確実に彼を”しかるべき相手”へと仕向けていた…。