NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

その3


三貫野ニチロウが会場に到着したのは、夜11時近かった。
既に宴はたけなわに達しており、彼が姿を現すと、大きな歓迎の声と拍手が一斉に沸き起こった。

「おお、ミチロウ!やっと来たか、アハハハ…。さあ、ノボルさんの隣へ座れ。…おー、みんな、熊本の色男がご到着だぞー!」

真っ先に同郷の椎名がこう迎えると、会場内の視線は一斉に三貫野へと集中した。

”うぉー!待ってました~”

”三貫野さん、ようこそ、ハマへ…!”

皆の歓迎ぶりはハンパなかった。


...


「椎名…、遅くなってすまん。…ああ、ノボルさん、やっと着きましたわ」

「三貫野、長旅ご苦労さん。まあ、とにかくココ座れよ」

「ええ、じゃあ…」

淡いベージュのハーフコートを脱ぎ、ジャケット姿になってノボルの左隣に腰を下ろした三貫野の佇まいは、まさにホストさながらだった。
この場の皆は、注目の人物を舐めるように観察と言った様相である。

そんな様子をひと通り把握すると、ノボルは椎名に目でサインを送った。
それを受けた椎名彰利は、さっそく本日のメインカマー、フロム熊本の三貫野ミチロウの紹介に移った…。


...


「…つまり、この三貫野とは故郷熊本で幼い頃からの…。(中略)という訳で…、今後、九州からノボルさんをブレーンとして支えてもらうので、皆も承知してくれ」

”パチパチパチ…”

この後、三貫野からもさらっと自己紹介が済まされ、改めてカンパイとなった。
音頭はこの日、彼とは初対面になる大打武次郎が勤めた。

「…では、ここで改めて乾杯と行こう。三貫野さんよう、アンタとはここで初面識だが、いやあ、初めて会った気はしない。さあ、みんな!運命の出会いと門出を祝す一献は年が明ける前にさっさと済ますぞ。…では、わがハマのモブスターズ、チーム大打の躍進と強固な結束を誓ってカンパーイ!」

”カンパーイ…!”

この一声はこの場にいる人間にとって、互いの固い絆を交わし合った証しを自らに言い聞かせる暗示だったのか…。
裏切りを許さない踏み絵の儀式だったのか…。

その場の醸す空気は間違いなく前者だった。
しかし、それぞれの心の奥には、個々、微妙な思いが宿っていたに違いない。