NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

その4


その年も残すこと半月となり、世間は一気に年末モードに入っていた。
イメージ的にはゆったりと時間が流れている感もある、ここ北海道・札幌の街中もその例外ではなく、俄然せわしさを醸している…。

己に立ち止まることを拒絶させた男・大打ノボルは、この時期、いつも痛感している。

”時間がないという焦燥感など、それが日常で生きているオレにとっては不思議な光景だ”と…。

どこか申し合わせたように気忙しく行き交う世間の人々は、そんなノボルにとって、自分の日常ペースに近づいた程度にしか捉えられなかったのである。

”とは言え、ココで年越しを迎えるかどうかとなると、さすがに考えてしまう。寒いし、北海道…(苦笑)”

...


”屋台のオヤジとは明日だ。バグジーとやらの消息が分かれば、即そこへ向かう。だが、そうでない場合は、一旦横浜に戻るか…”

ノボルの思案…、その判断基準は明確だった。
二人目のスカウト候補者次第、それが最優先…。
まずは、そこ次第だということに行きついていたのだ。

一方、大打グループの本拠地横浜では、ノボルの留守を預かる武次郎や椎名らは、節目の新しい年を迎えるまでに”主”の帰還を切望していた…。
正に、新たなる年は節目、チーム大打にとっては特別な年越しになるのだからと…。

...


その南関東、横浜市郊外では…。

「…じゃあ兄貴は年越してまで、その二人目のスカウト対象を追っかけるってかー?」

「武次郎…、要は所在のアテが掴めれば追うということさ。通称バグジーとかってその男は、全国を渡り歩いてるフリーランサーらしい。そう簡単に捕まえられはしねえよ、たぶん。よほどの固い情報でなきゃあ、旅費と時間の無駄になる。その辺は心得てるだろうさ、ノボルさんもよう…」

「彰利よう…、あの兄貴は、立ち止まったら死んじまうって強迫観念を自分に強いて生きてるんだぜ!ムダでもボケッとしてるより意義があるって行動原理だ。それはお前だって…」

「承知してるさ!…武ちゃん、ノボルあんちゃんの”それ”はオレたち二人、否定できんだろうが。決して…。あの人を先頭におっぺしてだ、オレ達があの人を支えてグループを動かしてる限りは…」

「…」

椎名は特段の意識なしに、”この言葉”を口にしていた。

果たして大打弟は、その幼馴染…、今は組織を共に引っ張る盟友たる椎名彰利の口にした今の一言をどう捉えていたか…。
その答えは、これからおよそ8年後に”ある事件”を以ってその”解明”を見る…。