本チャプターのあらすじ⤵
大打ノボルその後の数奇な運命に大きく関わることになる、”通称バグジー”…。”凶暴な内面の女”を抱えた特異な性同一性障害を持つ、バグジーこと柴崎典男との太く真っ黒な糸はここに繋がる。
*********************************
その1
”三貫野…、楽しみにしてるぜ…”
札幌ー熊本間の長距離電話を20数分で終えたノボルは、自分と仲間たちが同時並行で邁進している実感を得た。
改めて…。
”いい流れに乗ってる。うん、それは間違いないさ…”
それぞれの自覚と、共通した中長期ロードへのそれぞれの目線…。
そこで皆が捉えた、各々の今やるべきことを、自信のアタマで考え行動に移している現状…。
そこを更に捉え、ノボル自身にとって、この後となる自分の行動を考える…。
それを、彼は自問自答した。
...
”秒殺オオカミと再び会ったあとは、そのまま横浜へ戻るか…。それとも再度熊本か…。いや、もうしばらく、皆にはノボルなしの環境で動かせたい…。それが、来るべき局面でもプラスになるような気がするんだ…”
そう…、大打ノボルはそんな予期もあってか、今日のオオカミとの別れ際、”あんな話”を切り出したのだった…。
...
「…はあ?他に当たるってのか、ヒットマン候補を…」
「いや、”それ”の候補でアンタに浮気ってつもりは毛頭ない。ぶっちゃけで言うと、殺し以外でも、オレ達プロパーのメンバーではこなせない仕事を回せる仕事人はよう、何人かストックしておきたいんだ。血を見ない様々な請負も含めて…。だからさ、せっかくアンタと接触できて、次まで時間があるなら、その間に何か有用な人材ネタを仕込める”当たり”はないかとね…。まあ、無駄話になっても構わないんだ。どうかな?」
「…そういうことならな。…ちょっと考えてみる。少し待っててくれ」
「ああ、頼む」
そして1分ほどして…。
...
「R町の漁港で毎週火曜日と木曜日の夜間、ラーメンの屋台が出てる。そこのオヤジはいわゆる業界OBだ。話好きなんで、気に入ってもらえれば、武勇伝の延長で面白い話が聞き出せるかもしれん。まあ、あまりアテにされても困るが」
「いや、ぜひ足を運んでみよう。赤いノレンのチャンチャン亭って屋台だな?」
「ああ…。オヤジはごっつい図体だが、右耳だけピアスを付けてるから、それ目印になる」
「わかった。ありがとうよ、オオカミさん。10日後、楽しみにしてるぜ」
オオカミは”ああ”とだけ言って頷き、去って行った。
...
”へへ…、またデジャブだな…。今度もきっと素敵なヤロウとの出会いが待ち受けてるだろうよ…”
ノボルはココでも、宿願の”恋人”との出会いを予感せざるにいられなかった…。
大打ノボルその後の数奇な運命に大きく関わることになる、”通称バグジー”…。”凶暴な内面の女”を抱えた特異な性同一性障害を持つ、バグジーこと柴崎典男との太く真っ黒な糸はここに繋がる。
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その1
”三貫野…、楽しみにしてるぜ…”
札幌ー熊本間の長距離電話を20数分で終えたノボルは、自分と仲間たちが同時並行で邁進している実感を得た。
改めて…。
”いい流れに乗ってる。うん、それは間違いないさ…”
それぞれの自覚と、共通した中長期ロードへのそれぞれの目線…。
そこで皆が捉えた、各々の今やるべきことを、自信のアタマで考え行動に移している現状…。
そこを更に捉え、ノボル自身にとって、この後となる自分の行動を考える…。
それを、彼は自問自答した。
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”秒殺オオカミと再び会ったあとは、そのまま横浜へ戻るか…。それとも再度熊本か…。いや、もうしばらく、皆にはノボルなしの環境で動かせたい…。それが、来るべき局面でもプラスになるような気がするんだ…”
そう…、大打ノボルはそんな予期もあってか、今日のオオカミとの別れ際、”あんな話”を切り出したのだった…。
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「…はあ?他に当たるってのか、ヒットマン候補を…」
「いや、”それ”の候補でアンタに浮気ってつもりは毛頭ない。ぶっちゃけで言うと、殺し以外でも、オレ達プロパーのメンバーではこなせない仕事を回せる仕事人はよう、何人かストックしておきたいんだ。血を見ない様々な請負も含めて…。だからさ、せっかくアンタと接触できて、次まで時間があるなら、その間に何か有用な人材ネタを仕込める”当たり”はないかとね…。まあ、無駄話になっても構わないんだ。どうかな?」
「…そういうことならな。…ちょっと考えてみる。少し待っててくれ」
「ああ、頼む」
そして1分ほどして…。
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「R町の漁港で毎週火曜日と木曜日の夜間、ラーメンの屋台が出てる。そこのオヤジはいわゆる業界OBだ。話好きなんで、気に入ってもらえれば、武勇伝の延長で面白い話が聞き出せるかもしれん。まあ、あまりアテにされても困るが」
「いや、ぜひ足を運んでみよう。赤いノレンのチャンチャン亭って屋台だな?」
「ああ…。オヤジはごっつい図体だが、右耳だけピアスを付けてるから、それ目印になる」
「わかった。ありがとうよ、オオカミさん。10日後、楽しみにしてるぜ」
オオカミは”ああ”とだけ言って頷き、去って行った。
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”へへ…、またデジャブだな…。今度もきっと素敵なヤロウとの出会いが待ち受けてるだろうよ…”
ノボルはココでも、宿願の”恋人”との出会いを予感せざるにいられなかった…。