本チャプターのあらすじ⤵

大打ノボル、ついに”秒殺オオカミ”との折衝に漕ぎ着ける!厳寒の北海道で白い吐息を交わし合うNGなき二人の、その長きに渡って黒い絆で繋がる禁断の関係はここに始まろうとしていた…。

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二つのダークな白い吐息①



”寒いよう…、あんちゃん、寒いよう…”

”なら、怒れ!憎め、呪え…!”

”何言ってんだよう、あんちゃん…”

”…いや、悪い。今のは幻聴だ、寒さにやられてな…。いいか、お前が寒いならおれも寒い。なら、寒い者同士、互いに血のたぎりを沸騰させて熱を分かち合おう…”

”あんちゃん…”

...


”フン…、これって、死ぬまでフラッシュバックかよ…!上等だぜ…”

南関東とは段違いの寒い年の暮れ…。
大打ノボルは寒さの肌感、食い込み感の違いというものを知ることの意味…、無意味さをいつも己に問いかけて生きてきた…。
彼は今、この瞬間、それらへの関与とは決別することを自分に言い聞かせるべきだと悟るに至ったようだ。

寒さは素直に感じるべきもので、したり顔して計るモノではないと…。

”この北海道で本場の寒さを体いっぱいか…。ではあるがだ、あの当時の雨が雪にもならない横浜の冬に比べりゃ、ポカポカってことになる。要はそんな論建てで終われるんだ”

そう脳裏に言い聞かせていたノボルは、この数十分前、スカウト対象者との”決着”を終えたのだった…。


...


”割ととんとん拍子だったかな…。札幌で待機6日、レターの往復はわずかに3回だ。上等すぎるぜ。あとは結果のみになる…”

正直、ノボルは北海道が本拠の”オオカミ”とは言え、その”仕事がら”、会えるにしても、この地でという望みはハナから捨てていた。

”俺と会いたいなら、ここに来い”

その”ここ”が極端な話、九州や外国ってことも十分想定していたし、覚悟もしていた。
しかし、この北海道、しかも現在滞在していた札幌市からさほど離れていない場所で会えるという…。

”マジですかーってとこだな、実際。…オオカミさん、とにかく早く拝みたいぜ、アンタの顔…”

大打ノボルは、心を弾ませていた…。