ヒットマンを求めて、北海道へ⑥



札幌滞在4日目…。
その日は気温もそこそこまで上がり、抜けるような晴天だった。

前日まで思いつく範囲での角度から、様々なリサーチを施した上で、ノボルはいよいよ、スカウト対象のオオカミさんへメインアプローチの試みを決心した。

”さあ、縁あらば喰らいつけ!飢えたオオカミさん、アンタの好む餌はこれから先、ゲップが出るほどラインナップさせる。カムオンだ!”

ノボルのヒットマン確保に向けた使命感…。
その占める多くは、中長期先のガイドラインながら画期的な業界超えと言えるパートナーシップの基本合意を即断してくれた、東龍会会長の坂内への努めであった。

...

”あの人はホンネで、現代のやくざモンが殺しを躊躇する現状までガキのオレに打ち明けてくれた。そこをフォローできるのであれば、オレを青田買いでOKだと明言も…。なら、しっかり仕事をこなす雇いを一人でも確保しないと。一日も早く…”

ここでのノボルが自らに課す悲壮な義務感は、厳密には、弟の武次郎や椎名、そして三貫野の認識とは温度差を生じてた。

だが、肝要なのは、そのことを他ならぬ大打ノボル自身がしっかりと自覚していて、彼らにはあえて言及しない本意にあった。

”奴らは奴らで今何をすべきか、何が大事なことかを考え、行動を決すればいい。オレ達の間には固い信頼感というベースが構築されてるんだからな…”

ノボルには、はるか離れた仲間たちが今どんななのか…、それが何故か正確に捉えることが出来ていた…。

”…他とは違うことをやり遂げるには、先頭に立つ者一人の独走だけでは不十分だ。それぞれがトップランナーとして、必死に走る方角を探し当てる嗅覚を研げてなくては…”

究極のハードルハンターは、間もなく厳寒を迎えるここ北海道の地で、更なる脱皮を果たすのであった…。