ヒットマンを求めて、北海道へ⑤



椎名:…折本さんからは以上だった。そっちの解釈と齟齬とかはないか?

三貫野:ああ、概ねはな。ノボルさんから聞いてる範疇にカン違いはねえだろ。東龍会との合意はこの解釈で大丈夫だ。

椎名:わかった。それで…、やっぱりノボルさん、北海道は決まりなのか?

三貫野:ああ、ジェンヌの客の伝手でストックしてた殺し屋…、ああ、ヒットマンらしき野郎の話したら、即会って来るとな。

椎名:なあ、ミチロウ…、ノボルさんはウチらの総大将だぜ。まだ熊本入りして1か月ちょっとだろうが。早えーって、いくら何でも。なんでもっと、止めんがか!

三貫野:そげんこついうても、しかたなかが!ええか、彰利…、あの人はよう、原則自分の目えしか信じんとよ。坂内さんとは時間があるばってん、じっくりでよかろうと言うたが、ダメよ。あの人のペースに合わせるしかなか。だけん、そっちも”募集”やけん、ええな!

熊本の竹馬の友二人は、今や大打ノボルの2大ブレーンだった…。


...


椎名:ああ…、武次郎にもしっかと言うといたけん、こっちもさっそくかかる。でもよう…、ちっと急ぎ過ぎやないかなあとはな…。それより、今のうちはオレらの”同業”とかと、もっと接点持っとかんとまずいんやなかかと思う。

三貫野:ああ、オレもそれは懸念しとるわ。幾ら東龍会との密約アリとは言うても、そこんとこは同感じゃ。ダサい玉のドン臭といえども、”やの字”と接触歴は長いんやろうから…。まずはそこんとこの周知は必須って思うとる。そっちでもそのアクション、準備しとってくれ。ノボルさんには、あっちの状況次第でタイミング見て切り出すよって。

椎名:おお、頼むわ。実はもう武次郎とも”それ”は話しておるけん、詳細は逐次そっちへ入れるしな。

三貫野:ふう…、やはり今のうちに”敵情視察”、”内情把握”はなあ…、やっとかんと。ガキと言っても、さまざまだろうけん…。表面上の情報だけじゃあなあ…。


かくて、東龍会ー大打グループの水面結託は成されると同時に、ノボルは即、ブラックオペレーションの実行に向けた第一歩、殺し屋探しの為、北海道へ向かった。