ヒットマンを求めて、北海道へ③



「…お前の推測がピンポンだったと信じよう。要は、ヒットマンさんをつなぐメールボックスがT駅中央口のコインロッカー404号ってことだったんだな。それで、そんな”ボックス”を日本各所に”設置”してると。本拠地が札幌で、郵便屋さん役は地元に暮らす子供ってか…。ふう…、やはり劇画か映画のハナシだろ、こんなの…」

「ハハハ…、自分もそう思いますが、事実は小説よりサプライズでしたね。それを実感しましたよ。まずオレは、Aさんに聞きだしたボックスへの設置方法とパスワードに相当するサインアップ方法…。まあ、ダメ元ってことで、人を使って架空の依頼ごとを記した書面をぶつけたんです。ここでリターンなしだったら、それで終わったっと思いますよ、オレも…」

三貫野のしゃべりっぷりはいつの間にか、弾むようなリズム感を醸していた。
そして、聞く側のノボルもどこかスリリング感をある意味、堪能していた。

...


「…でも、交代でそのロッカーに張り付いたら、小学生らしき子供がそこ開けて、”ブツ”を持ち出していった…。そんで、お前の嘘八百のカマに殺し屋ちゃんがご丁寧に返事をよこしたと。しかもそれ、ガキに授けてよう、ボックスとやらへお前の指定方法でご返信ってか?”その依頼ごと、何かの間違いではとな…”。ブラックジョークの次元だぜ、それまでいっちゃったらよう…」

「まあ、なかなか面白かったですよ。こっちもしつこく、それこそ硬軟織り交ぜ、程よくつつきましたから。”いずれオーダーを考えてるモンだ。警察の回しじゃないから安心してね”とか…(苦笑)」

「…」

「おかげで、何リターンも繰り返した世にも怪しい文通の往復で、おぼろげな”主の像”があぶりだせてきたんで、”その筋”に近い人物に照会したところ、某ヒットマンさんだろうってことで…」

「そのキーワードが文通から導いた、”北海道””殺しの手口はナイフ””女子供のターゲットも可””やくざ直のオーダーNG”ってとこだったとな…。お前はその後も、そのヒットマンさんに関しては探りを絶やさなかったわけだ。いや、ずげえよ、マジ…」

ノボルはもうベタ褒めする他なかったようだ…。