本チャプターのあらすじ⤵
究極のハードルハンター大打ノボル、N G なき殺し屋"秒殺狼"を探し求めて北海道の地へ…。

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ヒットマンを求めて、北海道へ①



”寒い…。考えてみれば、こっちはもう雪の時期だわな。うかつだった…”

ノボルは正直、ちょいと後悔していた。
6日間かけて札幌入りし、彼は今、市街のドライブインで暖を取っている。

窓際の席で熱いコーヒーを喉に流し込む度、白い吐息がかたまりとなって現れ放たれていく…。
そんな彼の目線は、窓越しに小雪を全身に浴びて寒さに耐えている愛車を捉えていた。

日本列島南北を走破したその”足元”には、昨夜ブルブル凍えながら装備を施したチェーンがまるでギブスのように巻き付いている。

”相棒にも無理させちまってる…。フン…、こうなったら意地でも愛しのオオカミさんをキャッチしてやるぜ…!”

寒さシノギの定番、貧乏ゆすりで揺れるちゃちな木製テーブルに両肘をつきながら、ノボルはそう小声で呟いていた。


...


2週間前…。
滞在先の熊本市内にあるブティック”ジェンヌ”のマイルームに、ブレーンの三貫野が訪れていた夕方時のことだった。

「よし…!その男、スカウト対象だ。でよう、どこのだれべーだ?」

「本名不詳で通称、”秒殺オオカミ”…。北海道の札幌市郊外、Y通りにある某ATMコーナーに暗号を添えたサインを施せば、返事が来る…」

「”秒殺オオカミ”だとう…?」

「ええ、まるで劇画の世界ってところだが、実在の人物ですよ(ニヤケ顔)。…ネタ元はココの常連さんである50代のご婦人でして、そこからオレが探りを入れて…。90%近い確率で名うての現役ヒットマンですわ」

三貫野はさらっと言ってのけたが、ノボルの受けたインパクトは大きかった。
さらに、この優秀なブレーンが語ったその補足にも、ノボルは信じられないといった表情で聞き入るのだった。