大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州で
招かざる産声③
”坂内さんは間違いなく、未成年者案は頭になかった。これで文字通り、オレジナルプランってことになるな”
ノボルは坂内の反応に、確かな手ごたえを感じていた。
「…さすが、権田や球磨黒組から聞いてる”評判”だけのことはある。大打…、今の回答で、こっちの納得はOKと受け取ってもらっていい。となると、こっちの提案するパートナーシップの中身にそっちが納得か否かになるな」
坂内も話のテンポの良さでは、ノボルに引けを取っていなかった。
...
『はい。ですが、その前に、先ほどの坂内さんと同じ口上になります。私はあなたの提案、ほぼ自分の望み通りだという前提でここに来ていますので』
「フフ…、なるほど。じゃあ、こっちの描くガキ組織との提携スキームを話そう」
ここから約5分を費やし、東龍会会長は自身の目指すやくざとガキのパートナー関係について、実に端的な説明を披露した。
”やはり、デジャブだと心の中で叫ぶぜ!坂内さんの提案はオレ達に不都合の生じない、理想的なものだったしな。フフ…、こいつはいい。これなら、ガキが単にやくざの2次組織として使われるシステムとは全くの別物になる!”
坂内とノボルはこの後、即、大枠合意を交わした。
運命の初対面を果たした大打ノボルは、かくして魔法のチケットを手に入れたのだった…。
...
坂内との会談が終了した後、ノボルは近くで待機していた三貫野の車に乗り込み、帰路に就いていた。
「ふう…、いやあ、ノボルさん…。大仕事、お疲れさんでしたね」
助手席のノボルに向かってこう労いの一声を発した三貫野も、さすがにホッとした表情は隠せなかった。
「ふふ‥、だが、坂内さんとは想像以上に波長が合ったよ。組むやくざとしては最高だ。こっちへの理解も言うことなしだったしな。しかし、やくざの大親分からスマートって言葉を頂戴するのも何か、気恥ずかしかったが‥(苦笑)」
「いやいや…、それは向こうの本心ですよ。なんでも、傘下の星流会が接触してるガキはドン臭いって年中、折本さんとかにもらしてるようですから」
「…」
”これからの時代、お近づきのガキとなればスマートでないとな。頭も感覚も…。それが俺の必須条件だった。だから、今日ってことになった。ハハハ…”
ノボルはついさっき、別れ際に坂内の口から出た言葉を思いだし、つい口もとをほころばせるのだった…。
...
「三貫野、針路は定まったんだ。業界の保護者が付いたからには、次のステップにさっそくだ。”例の件”、もう走るぜ」
「殺し屋探し…、ですね?」
「おいおい、それじゃあスマートってもんじゃないだろう。ヒットマンと言えよ(苦笑)」
夜のハイウェイを時速100キロで疾走する真っ赤なスポーツカーの車中…。
二人はいつもよりやや明るいモードで”薄笑い”を連発させていた…。
招かざる産声③
”坂内さんは間違いなく、未成年者案は頭になかった。これで文字通り、オレジナルプランってことになるな”
ノボルは坂内の反応に、確かな手ごたえを感じていた。
「…さすが、権田や球磨黒組から聞いてる”評判”だけのことはある。大打…、今の回答で、こっちの納得はOKと受け取ってもらっていい。となると、こっちの提案するパートナーシップの中身にそっちが納得か否かになるな」
坂内も話のテンポの良さでは、ノボルに引けを取っていなかった。
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『はい。ですが、その前に、先ほどの坂内さんと同じ口上になります。私はあなたの提案、ほぼ自分の望み通りだという前提でここに来ていますので』
「フフ…、なるほど。じゃあ、こっちの描くガキ組織との提携スキームを話そう」
ここから約5分を費やし、東龍会会長は自身の目指すやくざとガキのパートナー関係について、実に端的な説明を披露した。
”やはり、デジャブだと心の中で叫ぶぜ!坂内さんの提案はオレ達に不都合の生じない、理想的なものだったしな。フフ…、こいつはいい。これなら、ガキが単にやくざの2次組織として使われるシステムとは全くの別物になる!”
坂内とノボルはこの後、即、大枠合意を交わした。
運命の初対面を果たした大打ノボルは、かくして魔法のチケットを手に入れたのだった…。
...
坂内との会談が終了した後、ノボルは近くで待機していた三貫野の車に乗り込み、帰路に就いていた。
「ふう…、いやあ、ノボルさん…。大仕事、お疲れさんでしたね」
助手席のノボルに向かってこう労いの一声を発した三貫野も、さすがにホッとした表情は隠せなかった。
「ふふ‥、だが、坂内さんとは想像以上に波長が合ったよ。組むやくざとしては最高だ。こっちへの理解も言うことなしだったしな。しかし、やくざの大親分からスマートって言葉を頂戴するのも何か、気恥ずかしかったが‥(苦笑)」
「いやいや…、それは向こうの本心ですよ。なんでも、傘下の星流会が接触してるガキはドン臭いって年中、折本さんとかにもらしてるようですから」
「…」
”これからの時代、お近づきのガキとなればスマートでないとな。頭も感覚も…。それが俺の必須条件だった。だから、今日ってことになった。ハハハ…”
ノボルはついさっき、別れ際に坂内の口から出た言葉を思いだし、つい口もとをほころばせるのだった…。
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「三貫野、針路は定まったんだ。業界の保護者が付いたからには、次のステップにさっそくだ。”例の件”、もう走るぜ」
「殺し屋探し…、ですね?」
「おいおい、それじゃあスマートってもんじゃないだろう。ヒットマンと言えよ(苦笑)」
夜のハイウェイを時速100キロで疾走する真っ赤なスポーツカーの車中…。
二人はいつもよりやや明るいモードで”薄笑い”を連発させていた…。