本チャプターのあらすじ⤵
三貫野ミチロウと大打ノボルによって挙行されたシナリオ完遂は、やくざ業界の望むカタチに至った。それ見届け了とした関東直系の有力組織で、ノボルの本拠地横浜を仕切る権田組を傘下とする東龍会会長の坂内からは、運命のラブコールを受けることとなる…。”NGなきワル”誕生前夜、壮大なブラックオぺレーションは起草された。
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大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州へ
黒の飛翔①
三貫野ミチロウ脚本、大打ノボル主演の”熊本工作”の仕掛け劇は、シナリオ通りの完遂を見た。
そして決行日の夜…、最終便で運ばれた亜里奈は、無事、東京の地を踏んむ。
「…大打さん、今回は何から何までありがとうございました。私…、このことは一生忘れませんので…」
当面の滞在先に到着した後、ノボルの”部屋”には深夜、亜理奈から長距離電話がかかってきた。
彼女は涙声で、ノボルへの感謝の気持ちを繰り返していた。
”亜里奈が殊勝に感謝を口にしてきたのは、すべて予定通りにいった安心感からだけではない。こっちの空港でオレからの訓読を自分で受け入れたからさ。それだけこのオレに迫力があったのかもしれんが、あの女は1日で変わり得たんだ…”
ノボルは一連の亜里奈との一件を総括していた…。
...
その翌週、球磨黒組×南州一新会の路上乱闘事件が勃発。
亜里奈の不倫相手だった一新会のチンピラが、球磨黒組組員への報復という流れで、言わば熊本抗争を既成事実化する第2幕アピールのアリバイ作りと言えた。
ここに、東西傘下組織同士による抗争勃発のゴングを鳴らさせた、大打ノボルら非やくざの若者が仕掛けた計画はコトを遂げた。
「…はは、しかしこうも早く東龍会のアプローチが来るなんて、予想外でしたね。先方から横浜にってことは、これは事実上の表敬訪問ですよ。あちらは幹部の折本さんでしたっけ?」
「ああ、そうらしいな」
「じゃあ、こっちは武次郎さんが出迎えて会談ってとこですか…」
「椎名も同席するようには言ってある…。でもよう…、三貫野、まだ当面の地方抗争を勃発させたってとこまでだろ、現時点では…。東龍会の目的はこれからの局面でどうなるか流動的だし、今、先方に労をねぎられるってのは、今後を考えるとどうなんだか…。こっちが何か不都合な材料を抱えやしないか?」
ノボルは素直な懸念と疑問を、優れた分析力の持ち主に尋ねた。
極めて端的に…。
...
対するこの優秀なブレーンはやや笑みを浮かべ、丁寧に解説を始めた。
「アンタのそう言った思考は大切だと思う。だが、リーダー格の大打ノボルが不在中を承知で、東龍会幹部がこのタイミングでヨコハマってのは、”次”を考えてでしょう」
「次って…。あちらさんはまず横浜を訪問する。したら今度は、いつ何をってことになる。どうなんだ、そこんとこ‥」
「今度となれば、言うまでもないでしょう。東龍会のトップ坂内さんはアンタに直接会う気なんだろうと…。その前段を幹部の折本さんと武次郎さんでってことですよ。言わば諸外国のトップ会談前と一緒で、大臣級の会談・然るべきトップ会談への地ならし・下交渉の位置づけですよ」
”関東直系の有力組織東龍会のトップがオレと会談って…!まさか、こんなに早く…。どう受け取ったらいいのか…”
ノボルは胸の中でそう呟きながら、細い目をカッと見開き、三貫野の顔をじっと見つめていた…。
三貫野ミチロウと大打ノボルによって挙行されたシナリオ完遂は、やくざ業界の望むカタチに至った。それ見届け了とした関東直系の有力組織で、ノボルの本拠地横浜を仕切る権田組を傘下とする東龍会会長の坂内からは、運命のラブコールを受けることとなる…。”NGなきワル”誕生前夜、壮大なブラックオぺレーションは起草された。
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大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州へ
黒の飛翔①
三貫野ミチロウ脚本、大打ノボル主演の”熊本工作”の仕掛け劇は、シナリオ通りの完遂を見た。
そして決行日の夜…、最終便で運ばれた亜里奈は、無事、東京の地を踏んむ。
「…大打さん、今回は何から何までありがとうございました。私…、このことは一生忘れませんので…」
当面の滞在先に到着した後、ノボルの”部屋”には深夜、亜理奈から長距離電話がかかってきた。
彼女は涙声で、ノボルへの感謝の気持ちを繰り返していた。
”亜里奈が殊勝に感謝を口にしてきたのは、すべて予定通りにいった安心感からだけではない。こっちの空港でオレからの訓読を自分で受け入れたからさ。それだけこのオレに迫力があったのかもしれんが、あの女は1日で変わり得たんだ…”
ノボルは一連の亜里奈との一件を総括していた…。
...
その翌週、球磨黒組×南州一新会の路上乱闘事件が勃発。
亜里奈の不倫相手だった一新会のチンピラが、球磨黒組組員への報復という流れで、言わば熊本抗争を既成事実化する第2幕アピールのアリバイ作りと言えた。
ここに、東西傘下組織同士による抗争勃発のゴングを鳴らさせた、大打ノボルら非やくざの若者が仕掛けた計画はコトを遂げた。
「…はは、しかしこうも早く東龍会のアプローチが来るなんて、予想外でしたね。先方から横浜にってことは、これは事実上の表敬訪問ですよ。あちらは幹部の折本さんでしたっけ?」
「ああ、そうらしいな」
「じゃあ、こっちは武次郎さんが出迎えて会談ってとこですか…」
「椎名も同席するようには言ってある…。でもよう…、三貫野、まだ当面の地方抗争を勃発させたってとこまでだろ、現時点では…。東龍会の目的はこれからの局面でどうなるか流動的だし、今、先方に労をねぎられるってのは、今後を考えるとどうなんだか…。こっちが何か不都合な材料を抱えやしないか?」
ノボルは素直な懸念と疑問を、優れた分析力の持ち主に尋ねた。
極めて端的に…。
...
対するこの優秀なブレーンはやや笑みを浮かべ、丁寧に解説を始めた。
「アンタのそう言った思考は大切だと思う。だが、リーダー格の大打ノボルが不在中を承知で、東龍会幹部がこのタイミングでヨコハマってのは、”次”を考えてでしょう」
「次って…。あちらさんはまず横浜を訪問する。したら今度は、いつ何をってことになる。どうなんだ、そこんとこ‥」
「今度となれば、言うまでもないでしょう。東龍会のトップ坂内さんはアンタに直接会う気なんだろうと…。その前段を幹部の折本さんと武次郎さんでってことですよ。言わば諸外国のトップ会談前と一緒で、大臣級の会談・然るべきトップ会談への地ならし・下交渉の位置づけですよ」
”関東直系の有力組織東龍会のトップがオレと会談って…!まさか、こんなに早く…。どう受け取ったらいいのか…”
ノボルは胸の中でそう呟きながら、細い目をカッと見開き、三貫野の顔をじっと見つめていた…。