NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

作者より👉本ページよりエンディングまでは、『ヒートフルーツ』全編版のエピソローグ前挿入話の『NGなきワル』(大打ノボル主観描写)バージョンです。オリジナルバージョンは本作と同時アップしますので、読み比べいただければと!


その12


ここのところ、ノボルの酒量はめっきり増えていた。

「すいません、ノボルさん…。今夜はオレ、伴につけないんで、代役には新入り二人をご一緒させます。いいっすか?」

「マキオ、急用か?」

「ええ、御手洗さんから今夜呼ばれまして…」

「そうか…」

「あのう…、俺なんかが口出すことじゃあないんですけど、あんまり深酒はしないほうがいいと思いますんで…。よろしくお願いしますよ。咳も最近はひどいし…。今日付く二人じゃあ、さすがにノボルさんへそれ、言えないでしょうから…(苦笑)」

「わかった。なるべくな…」

マキオはにっこり笑って事務所を出た。

”マキオもすっかり頼もしくなった。もう、オレの付は卒業させよう”

ノボルは思いだしたように、それを決断した。
なにしろ、ここのところ、彼を取り巻く”空気”は明らかに変化していたのだ。

無論、ノボルにはその意味するところは承知済だったが…。

武次郎体制への移行…。
しかし、正直、その動きは極めて早かった。
不自然なくらいに…。

...


この日の夜…。
ノボルは二人の若い不慣れなボディーガードを伴って、東京郊外H市の事務所から車で30分ちょっとの飲み屋街の一角にある、馴染みのクラブZに足を運んでいた。

店に着いて1時間ほど…。
ノボルは夕方マキオから受けた忠告を忘れたように、イッキ飲みを繰り返し、すでにかなり酔いが回っていた。

ノボルに付いた女も比較的酒が強く、その場はイッキ飲みで盛り上がっていたのだが…。

「ゴホッ、ゴホッ…」

「大丈夫、ノボルさん…?私も使われてる身だから、お店で席に着けばお酒は勧めるけど、あまり無理しないほうがいいわ。最近、目に見えてやつれたもん…」

「そうか…?だが、ARBの曲じゃあないが、ここ最近は飲まずにいられねえ気分なんだ。ある女が頭から離れてくれなくてな…。はは…」

「あらあ…、失恋でもしたの?それとも片思いかしら…」

「その女とは一度しか会ってねえし、言葉を交わしたのもその時だけさ。そうだな…、ものの15分かそこらだったな…。その女、そりゃあいい匂いだったぜ。だが、もう会えねえ…」

「やっぱり、フラれたの?」

「いや…、もうこの世にいねえんだよ。そいつ…、享年17だった」

「えっ…、ああ、そうなんですか…。そんな若いのに…、お気の毒だわ。病気とかですかね…?」

「いや、殺されたんだ…」

「!!!」

...


ノボルの声はかすれていて、決して大きくはなかったが、若い部下二人とテーブルに着いた女達には、はっきりと聞き取れた。
はっきりと…。

ノボルの隣の女が、大打グループに入ってまだ日の浅い、20才そこそこの二人の男に思わず目をやったが、二人は下を向いてしまっている。

店の女3人は互いに顔を見合わせて、困惑しているようだった。

「あのう…、この話はもうやめましょう、ノボルさん…」

「ダメだ。まず訂正だ。オレから言うなら、その女は殺されたんじゃなく、殺したんだ。このオレが人を使ってな…」

「!!!」

その場は完全にフリーズ状態となった。
言うまでもなく…。