その10
「それで…、今度の相和会のトップに就くことが確実な剣崎からのシグナルってことだな…」
「そう言うことになる。問題はな…」
「俺のところにも、人を介したり、チンピラ経由で”片耳”の情報を探ってるって動きが複数入ってる。剣崎は矢島から組を継いだら、即、行動に移すつもりなんだろう?」
「まあ、そのメッセージではあるな。東龍会周辺にも、そっちと同じような間接的カマかけが頻々だ。おそらく、プレッシャー目的だろう。麻衣を殺った殺し屋を差し出せとな…」
「もっとも、片耳の男の素性はとっくに掴んでいるはずだし、囲っているのはそっちだって察してのことだろうから、差し出しのプレッシャー、イコールでこっちサイドとの条件折衝を打診してきてるって読めるがな」
「俺もそう思ってる」
「なら、アンタ…、剣崎のボールを受ける気なんだな?」
...
「迷ってる。いいか…、こっちは麻衣の他にも殺ってるんだ。横田競子とその恋人ともどもだ。こっちとしては、この3人分すべての決着じゃなけりゃあ意味がない。”ここ”で安易に乗っちまえば、ヤツらのワナに嵌まることになる。そこんとこ踏まえ、慎重に判断しねえとな」
「しかし…、ポイントは明らかだろう。相和会はその3人を実際に殺害した実行犯から、直接指示を出した人物を吐かせて、そいつらに報復を与える。剣崎がここで終まいとするかどうか…。ここだろう?要するに、大打んとこどまりか、アンタんとこまでリベンジに出る気なのかどうか…」
「確かにそうなる。だからこそ、横田競子と恋人をバイクごと谷に突き落とした寺尾が刑を終えて出てくる時期が重要になるんだ」
「確か来年だったな?」
...
「そうだ。うーん、この1年…、タイミングがいいんだか悪いんだか…。なかなか読みずらいぜ。田代…、そっちならどうする?」
「まあ、微妙なところだが、関東の本家や関西のパイプを複数使って、こっちからもそれなりにプレッシャーを投げることと並行して、ガキの首どまりで確約を取りつけるのがベターだと思うが…」
「そこだよ、田代。通常の組同士による揉め事の解決ならそれが堅実なセオリーだ。だが、実際には東龍会として3人の殺害関与、指示はないを最後まで押し通さないわけにはいかない。この手の事案はな。絶対に…」
「そうか…。そうなったんじゃあ、相互の認識に齟齬が生じないようにって、第3者を仲裁人にたてるというパターンが通用しないってことになるな」
「そうなんだ。相和会サイドの剣崎とは、言わば裏取引さ。あくまで間接的なやり取りによる、実にあいまいな合意に留まっちまうと思う」
「そこを、どうやってガキどまりの確約を釣るかだな。ふう…、確かにそっちの言う通り、片耳の男だけでって訳にはいかないのが悩ましいところだな。それで、具体的に方策案とかあるのか?」
...
「ひとつだけな…。横田とその恋人の確か…、香月とか言ったかな、その青年…。そっちの件は、矢島と建田にも暗黙のコンセンサスを得てあるからな。無論、実行当初もそれを以って、報復に打って出ようとした際、相和会サイドのアキレス腱に当て込んでいたんだがよう。もっとも、それを読んで、剣崎は矢島体制ではリベンジの素振りすら見せなかった。つまり、こっちの下地は読み取られている。通り一遍で相和会の組織内矛盾を突いて、こっちの安全を担保できるとは限らん」
「それなら、片耳の男の引き渡しを寺尾の出所時期まで延ばして、3人のケジメを一括に持ってっちゃえば、相和会内部も絡んでてたってことで、こっちの安全を担保させる回答を引き出せるんじゃあないか?」
「田代よう…、麻衣を殺った報復は実際、誰がってとこだよ。俺は間違いなく倉橋が出てくると思う。何しろ、籍を入れる直前のかわいいフィアンセを殺されたんだ。違うか?」
「ああ、そうだな。実際の行動となれば、あの撲殺男だろう。ふふ…、あんたの言いいたいことは読めたわ。そういうことか…!」
...
「…矢島が相和会と切れる直前から、やっこさんらが盛んに片耳を求めてるってのは、こっちの引き延ばしに牽制をかけてるんだ。早期引き渡しなき場合は、本郷麻衣の婚約者だった撲殺人が組織を出てまでも手を下すぞと…。現実的にあの倉橋なら、それくらいは何のためらいもなくやっちまうだろうしな」
「同感だ。だから、剣崎としては今のプレッシャーは、まさにこっちへのそのサインも含有させてるんだな?つまり、こっちの選択肢は狭められてることを意味してる」
「それで…、今度の相和会のトップに就くことが確実な剣崎からのシグナルってことだな…」
「そう言うことになる。問題はな…」
「俺のところにも、人を介したり、チンピラ経由で”片耳”の情報を探ってるって動きが複数入ってる。剣崎は矢島から組を継いだら、即、行動に移すつもりなんだろう?」
「まあ、そのメッセージではあるな。東龍会周辺にも、そっちと同じような間接的カマかけが頻々だ。おそらく、プレッシャー目的だろう。麻衣を殺った殺し屋を差し出せとな…」
「もっとも、片耳の男の素性はとっくに掴んでいるはずだし、囲っているのはそっちだって察してのことだろうから、差し出しのプレッシャー、イコールでこっちサイドとの条件折衝を打診してきてるって読めるがな」
「俺もそう思ってる」
「なら、アンタ…、剣崎のボールを受ける気なんだな?」
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「迷ってる。いいか…、こっちは麻衣の他にも殺ってるんだ。横田競子とその恋人ともどもだ。こっちとしては、この3人分すべての決着じゃなけりゃあ意味がない。”ここ”で安易に乗っちまえば、ヤツらのワナに嵌まることになる。そこんとこ踏まえ、慎重に判断しねえとな」
「しかし…、ポイントは明らかだろう。相和会はその3人を実際に殺害した実行犯から、直接指示を出した人物を吐かせて、そいつらに報復を与える。剣崎がここで終まいとするかどうか…。ここだろう?要するに、大打んとこどまりか、アンタんとこまでリベンジに出る気なのかどうか…」
「確かにそうなる。だからこそ、横田競子と恋人をバイクごと谷に突き落とした寺尾が刑を終えて出てくる時期が重要になるんだ」
「確か来年だったな?」
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「そうだ。うーん、この1年…、タイミングがいいんだか悪いんだか…。なかなか読みずらいぜ。田代…、そっちならどうする?」
「まあ、微妙なところだが、関東の本家や関西のパイプを複数使って、こっちからもそれなりにプレッシャーを投げることと並行して、ガキの首どまりで確約を取りつけるのがベターだと思うが…」
「そこだよ、田代。通常の組同士による揉め事の解決ならそれが堅実なセオリーだ。だが、実際には東龍会として3人の殺害関与、指示はないを最後まで押し通さないわけにはいかない。この手の事案はな。絶対に…」
「そうか…。そうなったんじゃあ、相互の認識に齟齬が生じないようにって、第3者を仲裁人にたてるというパターンが通用しないってことになるな」
「そうなんだ。相和会サイドの剣崎とは、言わば裏取引さ。あくまで間接的なやり取りによる、実にあいまいな合意に留まっちまうと思う」
「そこを、どうやってガキどまりの確約を釣るかだな。ふう…、確かにそっちの言う通り、片耳の男だけでって訳にはいかないのが悩ましいところだな。それで、具体的に方策案とかあるのか?」
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「ひとつだけな…。横田とその恋人の確か…、香月とか言ったかな、その青年…。そっちの件は、矢島と建田にも暗黙のコンセンサスを得てあるからな。無論、実行当初もそれを以って、報復に打って出ようとした際、相和会サイドのアキレス腱に当て込んでいたんだがよう。もっとも、それを読んで、剣崎は矢島体制ではリベンジの素振りすら見せなかった。つまり、こっちの下地は読み取られている。通り一遍で相和会の組織内矛盾を突いて、こっちの安全を担保できるとは限らん」
「それなら、片耳の男の引き渡しを寺尾の出所時期まで延ばして、3人のケジメを一括に持ってっちゃえば、相和会内部も絡んでてたってことで、こっちの安全を担保させる回答を引き出せるんじゃあないか?」
「田代よう…、麻衣を殺った報復は実際、誰がってとこだよ。俺は間違いなく倉橋が出てくると思う。何しろ、籍を入れる直前のかわいいフィアンセを殺されたんだ。違うか?」
「ああ、そうだな。実際の行動となれば、あの撲殺男だろう。ふふ…、あんたの言いいたいことは読めたわ。そういうことか…!」
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「…矢島が相和会と切れる直前から、やっこさんらが盛んに片耳を求めてるってのは、こっちの引き延ばしに牽制をかけてるんだ。早期引き渡しなき場合は、本郷麻衣の婚約者だった撲殺人が組織を出てまでも手を下すぞと…。現実的にあの倉橋なら、それくらいは何のためらいもなくやっちまうだろうしな」
「同感だ。だから、剣崎としては今のプレッシャーは、まさにこっちへのそのサインも含有させてるんだな?つまり、こっちの選択肢は狭められてることを意味してる」



