その7



それから3日後…、大打ノボルにそのオペレーションが諮られた。
告げたのは椎名だった。

「うーん、これは文句ないだろう…。いつもながらマンストックの照合能力には感心するが、これはマキオのタイムリーだな、はは…」

「じゃあ、ノボルさん…。組み立てますか、このネタで?」

「ああ、こんな機会を見逃したら次はそうそうないだろ。決行しよう、椎名」

「いいんですか。まだちょっと早くないですか?」

「いや、ちょうどバグジーと女スナイパーのガードが外れたとことだし、今を逃す手はない…」

”ノボルさん…。あんたの視界は本郷麻衣に占拠されているんじゃないのか…”

不協和音…。
そうは言えないのかもしれない…。
だが…。

ビジネスライクな上にも、限りなくシンパシーをそれぞれが重んじた4人のモブスターズにも、ある磁力が変化を及ぼしたのは明らかだった…。
本郷麻衣の存在は、ここでも磁場を呼びこんでいたのだ…。

...


その日の午後には、H市の事務所にそのモブスターズが揃った。

「…よし。これで決まりだ。タカハシ、麻衣にお熱の中野静人をダシにしたオペを組み立てろ。武次郎、秒殺オオカミを至急呼べ。椎名、マキオにはオレが直で聴取する」

「ノボルさん…、東龍会にはどうします?」

そのスマートな声はタカハシだった。

「ああ、そうだな。お前ら3人の誰かが坂内さんに企画段階としてってことで上申してくれ。可となれば、オペレーションの組み立てができた後にオレが会う」

「…」

”ここに来て、NGを捨てた目かよ、お前ら。それってよう…。ふふっ…、麻衣、こういうことだそうだ。だが、オレはお前を裏切らん。婚約披露の前日の約束、果たしてやる。最後までお前の弱点を突くぞ…!もうすぐかわいい新妻になるお前の決断を見せてもらう…”

ついに黒く歪んだレールは、麻衣とノボルを乗せ、急滑降に入った…。