NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

その3



「…でも親分、早々にガキの領分まで手を突っ込むってのはどうですかな…」

「折本…、ガキを取り込むパートナーシップは、確かに諸星ー砂垣ラインがパイオニアだった。それを完成形としてセールスできるスキルが不可欠だったんだが、大打を取りこみ、いわゆるNGなしにガキを持ってこれた。端的に言って、ヤクザが嫌がる殺しを、一線を画したガキ集団が、さらに外部のヒットマンを介する究極図だ」

「ああ、それはまさに俺らの願望だったですしね…」

「うむ…。オレとノボルは、その連携を中長期実現の元に交わした。そして、ここに来てのターゲットが17歳の小娘だ。しかし、言うまでもなくその子は、ただでさえ一筋縄でいくタマではないのに加え、今般、相和会幹部と婚約し、事実上、組内部の人間となった」

「いやあ…、今さらながら悪夢ですわ。そのお嬢ちゃんのお相手は他ならぬ、万博抗争で名を馳せた撲殺人でしたからね」

...


「そうさ。ただでさえ坂内スキームは、そもそも失敗など絶対許されない。そこへ持って来て、ここんとこバリューが青天井の本郷麻衣という、そんなデリケート極まるマトをやりそこなったラ…。その場合のリスクヘッジ、どう考えるって!」

「いやあ…、親分の見識には、いつもながら感服です。その通りですわ。坂内スキームは、基本、業界にはスケスケ覚悟…ですが、行きつくところは証拠あんなら持って来いですからね」

「そこで、それを突きつけられたら一巻の終いだわ。本郷の小娘のケースでは、万一の際が生じれば、東龍会に責任の所在が回らないような、先行の手立てを要するってことだよな?」

「ああ、そうなりますね。今まさにチーム大打は、麻衣を殺れる局面と見れば、即実行でしょうから。まさに、その材料を昼夜、タカハシが繋いでるんで。仮に一か月後、麻衣ヒットの環境が整ってゴーとなって…、万一、失策ないしは重大懸念を生じたとすれば、”誰か”で然るべきケジメを示す用意…、そういったところでしょうかね?」

坂内は小刻みに頷いていた…。

...


「会長…、その場合は先方が承知できる人物を差し出すと…⁉」

「バカ!声がデカいぞ。要は相手に、それなりの納得を与えるに値するそれってことになる。それだけだ。でないと、オレやお前の”指”にも係わる」

「そうですな、確かに…。何しろ、相手はクソガキの青臭い娘とは言え、油断なりませんからねー」

「当たり前だ!あの小娘を侮ってりゃ、こっちのタマだって危ねーって!折本…、その亜里奈って女、数日中にタカハシと一緒に寄こせや」

「わかりました…」

関東の有力直系組織、東龍会のトップ二人による真っ黒な会話は、更なるダークな妖霧を抱き込み、ここで幕となった…。