その4
すでに坂内と大打ノボルの電話会談は、1時間近くに達していた。
だが、まだ終わる気配はなかった。
相馬定男の局部を切り裂いて、間接的に死に追いやった本郷麻衣を相馬豹一が遠縁の娘に化かせ、星流会をバックに付け都県境のガキ勢力再編へ打って出た砂垣にぶつけるという衝撃の報に対する見解をひと通り通わせたあと…。
「坂内さん、相馬さんがその娘を抱えたことで、ほかに何かをってのは、実際どんな…」
「いや、それが何だとまでは分からん。だがいいか、ノボルよう…。相和会、相馬豹一をとらえる際、現時点では相馬の健康状態が肝だ。以前も言ったが、いよいよ深刻らしい。業界では皆が1,2年でくたばるだろうとみてる」
”やはりか…。あのイカレた異端やくざもそう長くはないと…”
...
「…当然ながら、当の相馬も自分の残された時間を頭に入れ、その上での日々行動ってとこだろうよ。とすればよう、今般の血縁女子高生というぶっ飛んだ仕立てもだ、ヤツなりの視線の先ってとこで考え至ったやもしれん。フン…、あのイカレのこった。これが、常人では思いつかんことをやらかす為の下地だとしたら…」
「まさか、自分が死ぬ時、ないしは亡き後の状況を想定しての布石だというんですか!あの女子高生の取り込みは…」
「ああ、あり得るぞ。うん、十分アリだ、相馬なら考え兼ねん。今度は自分があの世へ行っちまうってとこに視野を置いてんだから、野郎、どんな爆弾を仕込むハラか、想像もできんわ…」
”これがタカハシの言っていた、相馬豹一のお家芸、ダブルミーニングってヤツか!広域直系ヤクザの大親分を腕組みさせて掌にのっけちまうって…。掛け値なしに凄げえって…”
...
「うーん、そうなるとノボル、その目つきが相馬と瓜二つという小娘、当面は注視していかんとな」
「ええ、自分も今そう思いました」
「お前の仲間にはそれ、よく指示しとけ。女勢力中心の再編闘争だか何だかは、早晩、夏が終わるころには決着するだろうから、その時点でその子がどんなだかだ。相馬はたぶん、その子に今後も”関与”を続ける。今言った、自分の寿命をタイムテーブルに乗せた”その視点”でな。ヤツはすでに終点の絵を描いている。俺にはそう思えてならん…」
坂内の分析と結論に、ノボルはおぼろげながらも、相馬のその仕掛けの向こう側には、自分もその枠内に身を置いているという予感を持った。
そして、そのことをこの坂内も想定していると…。
すでに坂内と大打ノボルの電話会談は、1時間近くに達していた。
だが、まだ終わる気配はなかった。
相馬定男の局部を切り裂いて、間接的に死に追いやった本郷麻衣を相馬豹一が遠縁の娘に化かせ、星流会をバックに付け都県境のガキ勢力再編へ打って出た砂垣にぶつけるという衝撃の報に対する見解をひと通り通わせたあと…。
「坂内さん、相馬さんがその娘を抱えたことで、ほかに何かをってのは、実際どんな…」
「いや、それが何だとまでは分からん。だがいいか、ノボルよう…。相和会、相馬豹一をとらえる際、現時点では相馬の健康状態が肝だ。以前も言ったが、いよいよ深刻らしい。業界では皆が1,2年でくたばるだろうとみてる」
”やはりか…。あのイカレた異端やくざもそう長くはないと…”
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「…当然ながら、当の相馬も自分の残された時間を頭に入れ、その上での日々行動ってとこだろうよ。とすればよう、今般の血縁女子高生というぶっ飛んだ仕立てもだ、ヤツなりの視線の先ってとこで考え至ったやもしれん。フン…、あのイカレのこった。これが、常人では思いつかんことをやらかす為の下地だとしたら…」
「まさか、自分が死ぬ時、ないしは亡き後の状況を想定しての布石だというんですか!あの女子高生の取り込みは…」
「ああ、あり得るぞ。うん、十分アリだ、相馬なら考え兼ねん。今度は自分があの世へ行っちまうってとこに視野を置いてんだから、野郎、どんな爆弾を仕込むハラか、想像もできんわ…」
”これがタカハシの言っていた、相馬豹一のお家芸、ダブルミーニングってヤツか!広域直系ヤクザの大親分を腕組みさせて掌にのっけちまうって…。掛け値なしに凄げえって…”
...
「うーん、そうなるとノボル、その目つきが相馬と瓜二つという小娘、当面は注視していかんとな」
「ええ、自分も今そう思いました」
「お前の仲間にはそれ、よく指示しとけ。女勢力中心の再編闘争だか何だかは、早晩、夏が終わるころには決着するだろうから、その時点でその子がどんなだかだ。相馬はたぶん、その子に今後も”関与”を続ける。今言った、自分の寿命をタイムテーブルに乗せた”その視点”でな。ヤツはすでに終点の絵を描いている。俺にはそう思えてならん…」
坂内の分析と結論に、ノボルはおぼろげながらも、相馬のその仕掛けの向こう側には、自分もその枠内に身を置いているという予感を持った。
そして、そのことをこの坂内も想定していると…。



