NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

その5



「相和会のチンピラあたりの話じゃあ、その遠縁娘、ケモノのような鋭い目で、若い頃の相馬とそっくりだってんだ。おまけにその激しい気性とイカレ具合も…。やはり血は争えねとかってな。フン、身内がこんな茶番、信じ込んでるってんだから、笑っちまう」

「そうですか…。でも、このままでいいんですか?ガキを挟んだ駆け引きは、相馬さんに制せられたってことになりませんか。要は諸星ー砂垣ラインを相和会に排除されたってことですよね?」

「こうもあっさりと砂垣を追い返されては、誰が見ても諸星何やってんだってなるわな、普通に見れば・・」

「ええ、そうですよ。折本さんは諸星ビジョン、諸星スキームによる都県境での実践段階を注目してると言ってましたし。それがこんなザマじゃあ、東龍会としてもマズいと思うんですが‥」

ノボルの指摘はまさに的を射ていたせいか、坂内は少し含み笑いを漏らた。

「だがよう、ノボル…。諸星には最初から全部確認してあるんだ」

そして坂内は、自分のパートナーに、ひとつひとつ説明を施すのだった。

...


「あのな、実は諸星が事前に承諾を求めにきててな。ヤツは相馬の投げてくるボールがある程度予測できてたようだ」

「あのう…、それって、諸星会長が東龍会の承認を得た上で、相馬さんとはあらかじめ今回の砂垣追放を了解する方針だった…。そういうことなんですか?」

「まあ、概ねそうなる。砂垣には全部は伝えてはいなかったようだが…。それで、じゃあ何でとなるよな。…ノボルよう、諸星だってしたたかさ。あの相馬とは阿吽の呼吸ができてるみたいで、自分のメリットはしっかり取りつけてきたわ」

ここでノボルは”なるほど”と、心の中でつぶやいた。
今回のやくざ間の駆け引きが複雑に絡む、そのカラクリが見透けたのだ。

...


「それは、どういったものなんですか」

ノボルは平静な口ぶりでややすっととぼけで、坂内にそう尋ねた。

「相馬からは、あくまで女勢力のフレーム再編を遠縁の娘に仕掛けさせるが、”ガキの市場”には関与しないという条件を引き出した。それと連動させて、砂垣は自分の保護下に置き、相和会もその身を保証させるという旨の同意をとった」

「…」

「それは、今後、愚連隊の顔役という砂垣のもう一つポジションを、相馬に承認させたことを意味するんだ。ふふ…、であれば、諸星が実際には愚連隊連中を動かした”経済活動”も、表面上砂垣を通したというアリバイ作りでそのシノギは”浄化”させられる」

”浄化か…!”

これもノボルには鮮烈な響きをもたらす言葉だった。