その2
「あのう…、坂内さん。今なんと…?あの相馬豹一の息子の…、大の男の局所切断って、同業じゃあなかったんですか⁉」
「ああ、正真正銘のきゃぴきゃぴ、当年16の高1ギャルだとさ」
「本当なんですか、それ!」
「ノボル…、最初に言ったはずだ。確かなニュ~スだとな」
「うう…」
この時の大打ノボルの仰天ぶりと衝撃は単純なく屈折していた。
”あの”相馬豹一の実子を、間接的にでも”殺った”のが業界の人間ではなかったこと…。
それがまず第一だった。
それはいわば、あの相馬を怒らせることのできる人間が、やくざではなかったという失望感にも繋がっていた。
一方で、実行に及んだという未成年の女子高校生には、瞬時にして、異様なほどの興味、極端に言えば性的なその子への関心までがまるでマグマのように心底から吹き上がってきたのだ。
...
「…その小娘なあ、どうやら、相和会の縄張りでウリのぼたっくりを繰り返してたらしい。そこを相馬定男がふん捕まえて強○しようとしたところ、その辺に落ちていたもんで切りつけられたとかだな…」
「その子、どうなったんですか?…ひょっとして、もう殺されたとか…」
「ノボル…、ここからは真偽が定かではない未確定情報として聞いとけ。一部、相馬を知り尽くしている俺の推論も加味されてる。その上でな」
「ええ、承知です」
「その子は当然、その場で拘束され、相和会の本部に連行された。そこで切りつけた男の父親、相馬にご対面となった…」
「…」
「…ノボル、その子、結果的に無事、その夜のうちに帰宅したそうだ」
「無事だったんですか!その女子高生…。じゃあ、相馬さんはなぜ…」
「ご対面して、ツラ突き合せたらよう、遠縁の娘だったってことだわ。自分の息子のムスコ、アレした猟奇犯の少女がよう…」
「!!!」
ノボルは再びフリーズ状態に陥っていた…。
...
「いいか、ノボル…。さすがにここまでのネタ、業界でもそうは多く知らねえ。あのバカ息子があそこ切りつけられて、それを苦に云々んってとこ止まりだ。諸星と砂垣もそこから先はまだ知らん」
”ふう…、傘下組長の諸星さんにも知らせていない極秘事項をこのオレにかよ…”
ノボルは立て続けに衝撃の連打を受けたが、なぜか盛んに武者震いで堪える自身に快感を得ていていた。
...
「…だが、これは確かさ。俺と田代は、普段からそれなりの対相馬の情報網は敷いてるんだ。はっきりって相和会内部に近い筋まで。だから、今耳したことは絶対他言無用だ。身内にもな」
”身内…!”
もうノボルは頭がくらくらしていた。
それは、相馬豹一に対抗する目の前にいる坂内の凄まじい執念を感じて、自分もすでにその枠内に組み込まれていることへの緊張感だったのかも知れない。
...
「言いませんよ、絶対。でも、会長、なんでそこまでをオレに…」
これは彼の素朴な疑問だった。
「フン…、お前は業界外の人間だが、パートナーのアタマだ。こういった類はトップ同士、情報共有しないと。特に非常時はな。まずはそこから、さあ、この先どうすっかってこったからよう」
「じゃあ、その女子高生の件、我々二人だけですか、知ってるの!」
「田代は知ってる。ヤツもオレの盟友田代会のトップだからな。お前を含めて3人だ、今のところは。折本にもまだだ」
「会長、分かりました。それで、オレはまず何をすればいいんですか!」
ここでノボルはある意味、パートナーのやくざ親分に下駄を預けた。
本来はいけないのかも知れないが、この時はなぜか、坂内の指示を乞いたかったのだ。
この時期だから…。
ここではギリギリのところで、ノボルの直情感情をドライな感覚がなんとか上回っていた…。
「あのう…、坂内さん。今なんと…?あの相馬豹一の息子の…、大の男の局所切断って、同業じゃあなかったんですか⁉」
「ああ、正真正銘のきゃぴきゃぴ、当年16の高1ギャルだとさ」
「本当なんですか、それ!」
「ノボル…、最初に言ったはずだ。確かなニュ~スだとな」
「うう…」
この時の大打ノボルの仰天ぶりと衝撃は単純なく屈折していた。
”あの”相馬豹一の実子を、間接的にでも”殺った”のが業界の人間ではなかったこと…。
それがまず第一だった。
それはいわば、あの相馬を怒らせることのできる人間が、やくざではなかったという失望感にも繋がっていた。
一方で、実行に及んだという未成年の女子高校生には、瞬時にして、異様なほどの興味、極端に言えば性的なその子への関心までがまるでマグマのように心底から吹き上がってきたのだ。
...
「…その小娘なあ、どうやら、相和会の縄張りでウリのぼたっくりを繰り返してたらしい。そこを相馬定男がふん捕まえて強○しようとしたところ、その辺に落ちていたもんで切りつけられたとかだな…」
「その子、どうなったんですか?…ひょっとして、もう殺されたとか…」
「ノボル…、ここからは真偽が定かではない未確定情報として聞いとけ。一部、相馬を知り尽くしている俺の推論も加味されてる。その上でな」
「ええ、承知です」
「その子は当然、その場で拘束され、相和会の本部に連行された。そこで切りつけた男の父親、相馬にご対面となった…」
「…」
「…ノボル、その子、結果的に無事、その夜のうちに帰宅したそうだ」
「無事だったんですか!その女子高生…。じゃあ、相馬さんはなぜ…」
「ご対面して、ツラ突き合せたらよう、遠縁の娘だったってことだわ。自分の息子のムスコ、アレした猟奇犯の少女がよう…」
「!!!」
ノボルは再びフリーズ状態に陥っていた…。
...
「いいか、ノボル…。さすがにここまでのネタ、業界でもそうは多く知らねえ。あのバカ息子があそこ切りつけられて、それを苦に云々んってとこ止まりだ。諸星と砂垣もそこから先はまだ知らん」
”ふう…、傘下組長の諸星さんにも知らせていない極秘事項をこのオレにかよ…”
ノボルは立て続けに衝撃の連打を受けたが、なぜか盛んに武者震いで堪える自身に快感を得ていていた。
...
「…だが、これは確かさ。俺と田代は、普段からそれなりの対相馬の情報網は敷いてるんだ。はっきりって相和会内部に近い筋まで。だから、今耳したことは絶対他言無用だ。身内にもな」
”身内…!”
もうノボルは頭がくらくらしていた。
それは、相馬豹一に対抗する目の前にいる坂内の凄まじい執念を感じて、自分もすでにその枠内に組み込まれていることへの緊張感だったのかも知れない。
...
「言いませんよ、絶対。でも、会長、なんでそこまでをオレに…」
これは彼の素朴な疑問だった。
「フン…、お前は業界外の人間だが、パートナーのアタマだ。こういった類はトップ同士、情報共有しないと。特に非常時はな。まずはそこから、さあ、この先どうすっかってこったからよう」
「じゃあ、その女子高生の件、我々二人だけですか、知ってるの!」
「田代は知ってる。ヤツもオレの盟友田代会のトップだからな。お前を含めて3人だ、今のところは。折本にもまだだ」
「会長、分かりました。それで、オレはまず何をすればいいんですか!」
ここでノボルはある意味、パートナーのやくざ親分に下駄を預けた。
本来はいけないのかも知れないが、この時はなぜか、坂内の指示を乞いたかったのだ。
この時期だから…。
ここではギリギリのところで、ノボルの直情感情をドライな感覚がなんとか上回っていた…。



