言ってから、自分ながらも驚いた。カップルをトレードするのは許されている。だからすればよかったのに…なんでだろう。
「ふーん?」
と首を傾げた鷹良くんの顔があまりにも妖艶で、心臓がどくんと跳ねる。
「わ、私…」
喋りかけようとしたけれど、七海夫婦の大きな声にかき消されてしまった。
「はーい♡生徒諸君!」
なんの提案をするのかと思えば、
「…………風船を抱きしめて割る…??」
風船の中には質問のカードが入ってて、お互いのことを知るチャンスになるみたい。
「それじゃあスタート!」
「ほら。割るんだろ」
「え、でも…」
「ごたごたうるさい。割るよ」
何の躊躇いもなく私を抱き寄せる鷹良くん。
近くで見ると、やっぱり顔が整っているんだな、と感じた。
お肌に至っては私より全然綺麗だし、睫毛も長い。
しかもこのふわっとしたいい匂い…シトラス…?
顔面偏差値も高くていい匂いもするってずるい!
なんて緊張しているのは私だけで、鷹良くんは表情を全く変えずに風船の中から飛び出したカードを拾った。



