「…さん、…さん、有川さん」
私の名前を呼ぶ声で目が覚めた。

「起こしちゃってすいません。でも、検査の時間なのですが、受けられそうですか?」

「…はい、大丈夫です」
持病の方の検査だ。

私の持病は心臓と肺の機能があんまり良くなくて、発作を起こしてしまう。
だから検査は、心電図とレントゲン、肺の呼吸を調べる検査。

そんなに大変ではない。
心電図も寝てるだけだし、肺の検査は息を吐くだけだ。

立って移動しようとしたら、めまいがした。

「…大丈夫ですか?車いすで移動しましょう」

「すいません、ちょっと熱と貧血でめまいが…」

「大丈夫です。無理せずゆっくりでいいですからね」

医療従事者になってみて、私は色んな人に助けられてきたと感じる瞬間が多い。

今も時間はあんまり余裕がないはずなのに焦らせないように安心する言葉をかけてくれる。

この安心する言葉は、患者さんにとっては大きな支えとなっているのは自分が一番知ってる。

だから、私も頑張らなくちゃ…