「南ちゃん、寝た?」
部屋を出るとおふくろが心配そうに聞いてきた。

「うん、泣いてたけど。今は寝てる」

「そう…リビングにいらっしゃい、そこで話をしましょう。今日泊まってくでしょ?」

「うん、南を無理やり起こしたくもないし、爆睡してるから」

「南ちゃんの持病の方はどうなんだい?」
親父が聞いてきた。

「薬は毎日飲まずに良くなったけど、精神的な体調不良とかでたまに発作は起こしてる」

「…そうか、良くなってたことが確かで安心したな。しかし、心の傷はそれ以上に時間がかかるかもしれんな。ヒデさんも心配してた。南は俺には弱さを見してくれないって」
ヒデさんとは、南のお父さんの名前だ。
南のお母さんの名前はコハルさんだ。

「南ちゃんを私達は8年間置き去りにしてしまったわね…コハルさんがいつも南ちゃんを見守ってると思うけれど、やはり辛かったわよね、」

「でも、つらいだけじゃなかったと思う。医者になるって言う夢も自分で掴んだし、
医者になるためにしたことは、これからの人生でも強みになる。晴基、南ちゃんを定期的に連れてきておくれ」

「俺も今日の様子見てそうするつもりだったから、南が一人でも行けるようにするよ」

「あぁ、それがいいわ。私も南ちゃんに教えたいことたくさんあるし、、、南ちゃんの恋の相談にも乗ってあげたいわ!彼氏とか紹介されたら…キャー♡」

「南の彼氏はおれだから!」
気づいたら大声で叫んでいた。

「シー、!南ちゃん寝てんだからって、アンタなの?晴基は南ちゃんには、もったいないよ」
腹黒いおふくろの一面が…

「オイ、誰の息子だよ」

「コラコラ、漫才のような言い合いはやめなさい」

ガチャ
「晴?晴?」
眠い目をこすりながら南が半分寝てるであろうフラフラでリビングのドアを開けた。

「あっ、起きた?起きちゃったのか」
俺は駆け寄ってフラフラな南の肩を支えた。

「南ちゃん、寝る?ご飯作ったけどたべる?」

「いいんですか?ご飯食べても」

「もちろん、今日晴基が連れてくるって言ったから南ちゃんが好きだったものを作ったよ!」

「…たべます!食べたいです」