桃ちゃんは心配そうに私とハードルを交互に見て、「分かった。ありがと、茉白っ」と、渡り廊下の方へと走っていった。


「よいしょっ、」


私も早くこれしまっちゃお。
それにしても忙しそうだなぁ、軽音部。
でも楽しいって桃ちゃん言ってたな。

文化祭の演奏を見たことがあるけど、桃ちゃんカッコよかった……
パワフルにドラム叩いててさ、ギャップって感じだった。


「私も部活入れば良かったかな……」


なんて、そんなことを呟く。
体育倉庫まであともう少しだ。

後ろの方で「椎名ー!」って、また誰かが椎名くんを呼ぶ声がして、やっぱり人気者なんだなぁと、そう考えた時。


「っ、わ……!」


ガチャッ、とハードルに足が引っかかって、
ぐらり、体が前に傾いた。