何気なく上を見上げると、

ビルの隙間から見える空は
若干オレンジがかっていて、
もうすっかり秋を感じる。

「寒くなってきたね」
「ね~」

何となく会話が終わった後の静けさを
紛らわそうと
すれ違う人々をさりげなく目で追う。

「聞いてるー?瑠依くん?」
「あ、ん?」
「……聞いてる?」
「あぁ、聞いてる、聞いてる」
「……ほんと?」
「えーと、なんだっけ?」
「……」

どこか上の空のチャラそうな男の子と
その男の子を一途に見つめる女の子。

女の子…ちょっと可哀想だなぁ…。