だけどその手が…

私に届くことは無く、
また再び、離れていってしまう。

行っちゃ嫌…

伸ばしかけていた瑠依くんの手を
私は無理矢理にでも強く掴んで、
ひたすら叫ぶ。

「嫌…、嫌…!!瑠依くん…!!
ねぇ!しっかりして下さい…!!!瑠依くん!」

「瑠依くん……っ、私……っ、お腹に……っ、
赤ちゃんいるんです……!!!瑠依くんとの子!!
だから…っ!」

「…………ごめん」

最後に一言。

そう言った瑠依くんは力を全て失ったように
静かに目を閉じた。