市宮 瑠依がトイレへと向かい、
水野 真白1人残された1年の教室。

さっきまで腹が痛い、と嘆いていた
瑠依が居なくなった事で
急に静かになってしまった教室で1人。

無性に湧き上がってくる吐き気を抑え、
真白はもたつきながら立ち上がった。

そして落ちていた折れかけのチョークを握って
黒板の隅の方へと向かう。

カッ……カッ……カッカッカッ……。

「うっ……」

口に手を当てながら1人寂しく
相合傘を描いた。

《るいくん》

相合傘の片方にはそう書いて、
もう片方は…

《ましろ》

そう、自信を持って書きたかったと、
髪に付いているひまわりのピンを
触りながら、思った。