「柊希、ありがとう。だいぶ落ち着いた」

「ははっ、良かった。でも」

柊希は言葉を途中でやめた

なんだろ?

「泣き疲れたあと、手を離さなかったのは乃愛瑠だからな?」

えっ、うそ

知らなかった

「えっ!知らなかった。だから手が動かせなかったのか」

「なぁ、乃愛瑠、まだ寂しいか?」

兄は私を抱きしめたまま、耳元で低い声を出した

心配してる時の声のトーンだ

「ん〜、わかんない。一人でいたら、また泣きそうだな」

明日から学校に行っても恭平くんはいないんだよね

それを思ったらまた泣きそうになってきた

「柊希、もう少しだけ抱きしめさせて」

「俺はいつでもいいぜ。ほら、乃愛瑠が眠るまで一緒にいるからさ」

ありがとう。柊希

私は兄の暖かさに包まれながら目を閉じだ